Project/Area Number |
16790169
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
General medical chemistry
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
島 扶美 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助手 (60335445)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | ras癌遺伝子産物 / 分子標的薬 / 抗癌剤開発 / in silico創薬 / X線結晶構造解析 / 核磁気共鳴法 / M-Ras / M-Ras(R-Ras3) / switch I / X線結晶解析 / NMR |
Research Abstract |
Rasは、従来活性型と考えられてきたGTP結合型(Ras・GTP)においても、標的蛋白質との結合能力を有するstate 2構造と、有さないstate 1構造との間で、相互変換(遷移)を行っている事が、近年の核磁気共鳴(NMR)法により明らかになった。申請者は、RasホモログM-Ras・GTPのX線結晶構造解析を通じて、これまで不明であったRasのstate 1構造の決定に世界で初めて成功した(J.Biol.Chem.208:31267-31275,2005)。極めて一次配列が類似し、標的蛋白質を数多く共有するRasファミリー蛋白質群において、異なったstateの遷移様式により、シグナル伝達の微調整が行われていることが、申請者の研究により初めて明らかになった。また興味深いことに、state 1構造には、Rasの分子表面に低分子量有機化合物が十分挿入可能なサイズのポケット構造が存在する事が明らかになった。高次構造解析によって蛋白質分子表面上にポケット構造が明らかになることは、コンピュータ・ドッキングシミュレーションを用いたin silico創薬上、極めて重要な構造情報が得られたことを意味している。特にras癌遺伝子は、ヒトの癌全体の15-20%、大腸癌では40-50%、膵臓癌では85-90%の発癌に関与しているため、その遺伝子産物Ras蛋白質は抗癌剤開発上、恰好の分子標的と考えられる。しかしこれまでに、Rasを分子標的とした抗癌剤開発については、まだ世界的に見て成功例が報告されていない。今回得られた構造情報に基づき、state 1のポケットに特異的に結合し、Rasをstate 1構造に安定化することにより、癌化シグナルを抑制する化合物を、我々はコンピュータ・ドッキングシミュレーションを用いて5万種類の化合物を含むバーチャルライブラリーからスクリーニングし、100種類の候補を得た。これら候補化合物によるRasとRafとの結合抑制効果を試験管内において確認したところ、5種類の化合物について顕著な結合抑制効果が認められた。さらにこのうち2種類については、共通の母核構造が確認されており、この母核構造によるstate 1安定化機能が示唆される結果を得た。
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