Project/Area Number |
16790214
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Human pathology
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
入江 理恵 (柴田 理恵) 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00365230)
|
Project Period (FY) |
2004 – 2005
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
|
Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Keywords | 生体肝移植 / C型肝炎ウィルス / In situ PCR法 / 早期肝細胞癌 / CAP2 / 多段階発癌 / 小児原因不明劇症肝炎 / C型肝炎ウイルス |
Research Abstract |
C型肝炎ウィルス陽性肝炎・肝硬変では肝移植後にほぼ全例で肝炎が再発するとされる。移植後特に早期では、急性細胞性拒絶と肝炎再発の病理組織像は類似していることも多く、生検での鑑別が困難であるとされてきた。H16年度においては、C型肝炎ウィルスのRNAに対するIn situ PCR法を確立した。In situ PCR法と、線維化を見る特殊染色、胆管上皮のマーカーであるcytokeratin7に対する抗体を使用した免疫染色を組み合わせることは、肝生検組織上、C型肝炎再発もしくは急性細胞性拒絶の鑑別に役立つことが、実際の臨床例を通して証明できた。この内容を、平成17年第41回日本肝臓学会総会で発表した。 肝炎ウィルス陽性肝硬変・肝細胞癌では移植後の肝癌再発が問題となる。肝細胞癌に対する肝移植の適応に際しては、腫瘍の大きさと個数による評価が広く用いられているが、これは簡便である一方、必ずしも癌の悪性度を正確に反映していないと考えられている。これまでの解析から、肝細胞癌は多段階発癌を示す事が知られており、その知見は、複数の癌結節が多中心性に生じたものか、転移によるものかを鑑別する上で有用な指標となっている。すなわち、慢性肝炎、肝硬変の像を示す障害肝に前癌病変である腺腫様過形成が発生し、そこに、所謂上皮内癌に相当する早期肝細胞癌が発生する。そこからさらに分化度の低い進行癌が発生するが、特に早期肝細胞癌は、病理組織学的にも診断が困難なことも多い。平成17年度においては、マイクロアレイ法を使用して、早期肝細胞癌で高発現を示し早期肝細胞癌の分子学的マーカーとなり得る可能性のある分子、Cyclase-associated Protein2 (CAP2)を同定した。CAP2に対する抗体を作成し、Western blot、免疫染色法により、CAP2が前癌病変よりも早期肝細胞癌により強い発現を示すことを証明した。この内容を、平成17年96回アメリカ癌学会総会、第64回日本癌学会学術総会で発表した。また、"Overexpression of cyclase-associated protein 2 in multistage hepatocarcinogenesis"のタイトルで、Clinical Cancer Researchに現在投稿中である。 慶應義塾大学病院ではこれまで8例の小児原因不明劇症肝炎例を経験している。特に乳幼児原因不明劇症肝炎例は予後不良とされており、当院でも2例が肝移植後1年以内に肝不全となり死去している。我々は、原因不明の劇症肝炎例の摘出肝に認められる血管病変に注目した。原因は特定できていないものの、血管内皮障害をもたらす因子が劇症肝炎の成因となっていると考え、その内容を"Cryptogenic fulminant hepatic failure in infancy"のタイトルで、Liver transplsntationに投稿中である。
|