Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2004: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
精巣原発の胎児性癌細胞株はレチノイン酸・熱などにより,神経,筋,上皮細胞ならびに栄養膜細胞への多分化能を示す.その分化初期において発現が有意に誘導されるMcl-1遺伝子はBcl-2ファミリーに属するアポトーシス抑制遺伝子であった.申請者は,初期胚から胎児期,胎盤形成過程におけるMcl-1遺伝子の重要性を報告してきた.さらに,精巣原発の胚細胞腫瘍における同遺伝子の高発現を明らかにし,胚細胞の腫瘍化にMcl-1遺伝子が密接に関わっている可能性を示した(Sano M, et al.,Histopathology,2005).また一方で,腫瘍内における分化にも同遺伝子が関わっている可能性が示唆された. 申請者らが作成したMcl-1トランスジェニックマウスでは,膵ラ氏島の過形成ならびに腺腫が多発することから,同遺伝子の高発現が膵ラ氏島の発生,あるいは分化し・成熟に関わっている可能性が考えられている.今回,膵ラ氏島(特にインスリン産生細胞)の発生や分化・成熟と,同遺伝子発現との関わりを明らかにするために,まず小児のnesidioblastosisにおける発現を解析した(Sano M et al.,preparation of manuscript)Nesidioblastosisでは,インスリン細胞の過形成性増殖を認めるが,Mcl-1遺伝子は同細胞にほぼ一致して発現していた.さらに,ラ氏島新生を示唆するduct insular proliferationと呼ばれる膵菅上皮内のインスリン細胞群に一致して同遺伝子発現を認めた.以上より,母体高血糖における胎児インスリン産生細胞の過形成,あるいは膵菅上皮からの新生に,アポトーシス抑制遺伝子であるMcl-1遺伝子が深く関わっている可能性が示された.
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