Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
当院もしくは他院で治療を行った、あるいは治療継続中の小児白血病もしくは神経芽腫患児の臨床的特徴さらには予後因子の解析を行ってきた。小児白血病では予後良好とされてきたTEL-AML1症例での再発例やMLL遺伝子の再構成を来たした症例を中心に検討を行い、神経芽腫では予後不良と従来されてきたN-myc増幅症例であるにもかかわらず長期生存している症例を中心に検討を行った。これらの解析結果に基づいて遺伝子発現解析を行う症例の絞込みを行った。さらに当大学の倫理委員会で遺伝子解析研究の承認を得たうえで、これに基づく説明書と同意書を作成し患児の親権者から残存検体での研究の同意を得て遺伝子発現解析を行っている。現在はマイクロアレイで得られた膨大なデータの解析を行っている段階である。予後予測に有用である可能性のある遺伝子候補は多数抽出されている。さらには既知のプロファイリングデータとの比較検討、クラスタリング解析から小児白血病の新たな分類の可能性を模索している段階である。すなわち小児急性白血病の中で未だ予後不良なMLL遺伝子再構成を伴う急性リンパ性白血病の予後予測を行うことが可能となる新たな分類方法が最近報告されているが、この分類の正当性を裏付ける新たなデータをまとめている。症例数を増やし、かつ他の白血病との比較検討からこの分類の有用性が極めて高いことを証明する研究としてデータ解析の最終段階に入っている。近日中に論文としてまとめて報告できる見込みである。