Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2005: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
同時的複式物体弁別課題では,まず,オペラント箱の側面に設置された二つのパネル上に視覚刺激を提示した.ラットが正刺激の真下にあるレバーを押せば,背面にある報酬受け皿上に落とされる餌ペレットを得ることができた.正刺激と負刺激が二つのうちのどちらのパネル上に表示されるかは,試行毎にランダムとした.1対の視覚刺激についての弁別を,15秒の試行間間隔で1日1セッション,60分間遂行させた.学習基準は80%以上の正反応率が3セッション連続することとした.学習基準到達後,従来の刺激対に新たな刺激対を加え,2対の刺激対についての弁別を同様の手続きで行った.行動実験終了後,灌流固定し脳を摘出した.その後,Fos染色及びグルタミン酸系またはアセチルコリン系の神経マーカー(GluR1,NR1,ChAT)の2重染色を行った.脳切片上の嗅周皮質における免疫陽性細胞の観察・定量化は光学顕微鏡下で行った.1対または2対の視覚刺激の弁別を行ったラットの嗅周皮質を検索したところ,記憶負荷が大きくなるにともない,Fos陽性細胞数が増加する傾向が観察された.さらに,記憶負荷や遂行成績にかかわらず,Fos陽性細胞の多く(範囲83.3%〜100%)が,ChAT陽性細胞でもあり,一方,Fos陽性細胞の20%〜100%がGluR1に,25%〜90.9%がNR1に陽性反応を示していた.これらのことから,1)記憶負荷の増加にともない,賦活した嗅周皮質ニューロンの数も増加すること,2)記憶課題の遂行に関与する嗅周皮質ニューロンの多くがアセチルコリン系に密接に関与していること,3)同時に,グルタミン酸系も一定の関与をしていることが示唆された.また,グルタミン酸系に関与する嗅周皮質ニューロンの賦活は,必ずしも記憶負荷や遂行成績に関与していないことが示唆され,今後の検討課題となった.
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