Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
MMP-2は、癌細胞の増殖・浸潤・転移に重要な役割を果たすことが知られており、現在、癌治療のターゲットのひとつとなっており、その発現量は、癌の悪性度と関連することから、MMP-2の活性をインビボにおいて画像化することができれば、腫瘍の局在診断のみならず、核医学において重要である質的診断に非常に有用であると考えられる。本研究では、MMP-2で特異的に開裂することが知られているオクタペプチドをRI標識部位とのリンカーとして用いることにより、MMP-2活性と相関した放射性薬剤の開発が可能であると考えた。MMP-2で開裂、放出されたRI標識化合物を癌組織に滞留させる方法として、癌の血管新生に深く関与しているα_Vβ_3インテグリンと高い親和性を有するRGDペプチド配列の導入を考え、GPLGIAGQKKRGDfペプチドを設計し、Fmoc固相合成法によるペプチド合成を行った。さらに、RGDペプチドは直鎖ペプチドよりも環状ペプチドの方がα_Vβ_3インテグリンとの親和性が高いことが報告されていることから、N末端から10番目のリジン残基とC末端のフェニルアラニンを環化させた。今後、N末端から9番目のリジン残基εアミノ基にDOTAを導入し、EMCSを用い、N末端のアミノ基とアルブミンをconjugateさせる予定である。一方、本薬剤は、Y-90標識による内用放射線治療の可能性を有していることから、preliminaryな検討として、Y-90標識RGDペプチドを作製し、担癌マウスにおける体内放射能分布実験を行った。その結果、In-111標識RGDペプチドと類似した体内放射能分布を示した。この結果は、In-111標識薬剤による核医学診断とY-90標識薬剤による内用放射線治療とをカップリングさせた新しい核医学的方法論の構築に有用な情報を与えると考えられる。