Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
1,昨年度研究実績に引き続き、本年度もさらに症例を集積した。進行大腸癌20症例に対し、手術標本または、内視鏡生検の腫瘍部の凍結標本からmRNAを抽出し、C-DNAライブラリーを作成した。 2,Semi-quantitative real time-PCR法で,Thymidylate synthase(TS)遺伝子発現量を測定した。さらに、薬剤感受性を規定すると予測されるDPD, MDR1,TOP1,βtublin3の4種の遺伝子発現量についても測定した。S-1による化学療法を行ったStage IV大腸癌18症例においてTS-1の奏効率との関係について検討した。TS発現量が1.0x10^<-3>以上の症例の奏効率が0%(0/8)であったのに比べ、TS発現量が1.0x10^<-3>未満の症例の奏効率は60%(6/10)であり、有意に高値であった(p=0.01)。MDR1発現量が10x10^<-3>以上の症例の奏効率が0%(0/5)であったのに比べ、MDR1発現量が10x10^<-3>未満の症例の奏効率は46%(6/13)であり、高値であった。TS発現量とMDR1発現量がともに低い症例は18例中8例であり、その奏効率は75%(6/8)と高値であった。TS発現量とMDR1発現量のどちらか一方でも高値の症例は18例中10例であり、その奏効率は0%(0/10)であった。両群間に有意差を認めた(p=0.001)。DPD, TOP1,βtublin3の発現と奏効率には今回明らかな相関は認めなかった。腫瘍内TSとMDRI発現量はTS-1の感受性を規定する因子となる可能性が示唆された。特に両者の組合せにより精度の高い奏効率を予測できる可能性が示唆された。 3,同検体の腫瘍部と、正常大腸粘膜組織からLaser Captured Microdissection(LCM)を用いて選択的に細胞を採取し、TSの多型性およびLOHについて測定した。さらにdirect sequence法にて、double repeatの領域にSNPがあることが判明した。TS多形性のうち2R/2Rは3R/3Rに比べてTS mRNA発現量が低い傾向が認められた。 4,本年度追加症例分の20症例に関して、手術所見、病理所見、術後補助療法の有無等の臨床データを収集した。今まで集積した症例も含めて術後化学療法の評価、術後再発の経過、無再発期間、予後について経過を追い、TS遺伝子多型と臨床データとの関係について解析した結果、S-1化学療法を施行した2R/2Rまたは2R/lossの症例が2R/3Rまたは3R/3Rの症例に比べ、overall survivalが有意に延長していることが認められた。
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