Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
VEGF-Cは癌のリンパ行性転移に重要であると考えられている。今回、ヒト精巣セミノーマ細胞株において、低酸素培養のVEGF-Cの発現とその発現機序に関して検討した。細胞株はヒト精巣セミノーマ細胞株(JKT-1)を用い、低酸素培養は1%と5%O_2下で行った。遺伝子発現は半定量的なmultiplex RT-PCR法、蛋白発現はWestern blotting法、シグナル系の解析は各々inhibitorを用いて検討を行った。5%O_2の低酸素培養ではVEGF-Cの発現の変化は認めなかったが、1%O_2の低酸素培養では16時間後より遺伝子発現の増加を認め、24時間後より蛋白発現の増加を認めた。シグナル系の検討では、低酸素培養にて高発現となるVEGF-Cの遺伝子発現は、MEK1のinhibitorであるPD098059添加では変化は認めなかったが、phophahdylinositol 3-kinase(PI3K)のinhibitorであるLY294002添加では有意に抑制された。ヒト精巣セミノーマ細胞株において、1%O_2の低酸素培養で、リンパ行性転移に関与するとされるVEGF-Cの発現が、遺伝子・蛋白レベルともに亢進し、PI3K signaling pathwayの関与が示唆された。