Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
これまでの実験結果から頭蓋底骨折を伴わない程度の頭部打撲による急性期の変化では多くの場合、聴覚閾値を上昇させるに至るほどの変化は示さないが、それに引き続き発生した続発性の変化によって聴覚閾値上昇が発生することが推察され、その障害部位は第VIII脳神経であると考えられる。有髄神経系に機械的圧迫や牽引などの外力が加わった場合の障害発生のメカニズムは、外傷による直接的な変化とその数日後に発生する、外傷に基づく神経周囲組織への影響やサイトカインをはじめとする体液性因子が関与する続発性の変化などが関与すると考えられ、本年度も引き続き、聴覚閾値を上昇させる要因となり、頭部外傷後の続発性の変化に関与すると考えられる各種メディエーター(NMDA関連物質、フリーラジカル関連物質、神経栄養因子など)の同定を中心に研究を継続している。特に頭部打撃後にNMDA antagonistであるMK-801やnon-NMDA antagonistであるNBQXなどの薬剤を実験動物に投与して、聴覚検査(ABR検査および耳音響放射(OAE)検査)や病理組織学的検索(免疫組織化学法、電顕標本作製)などを用いて、対照群、単純打撃群との比較検討を行っており、最終年度には総括結果等を報告予定である。
All 2005
All Journal Article (1 results)
Hearing Research 199・1-2
Pages: 111-116