Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
ヒト角膜内皮細胞に特異的に高発現する蛋白質として同定したCESP-1は、データベース検索の結果、機能を類推する特徴的なアミノ酸配列が見つからなかった。従って、その機能を予測するために、培養細胞を用いてその細胞内局在の同定を行った。CESP-1cDNAを、FLAGタグがC末端に付加された哺乳類細胞用発現ベクター:pIRES-hrGFP-1aにサブクローニングした。DNAシークエンサーを用いてCESP-1がpIRES-hrGFP-1aにフレームを合わせて連結されていることを確認した後、大腸菌XL-2株に導入して増幅し、プラスミドを得た。次に、得られたCESP-1/pIRES-hrGFP-1aプラスミドをリポフェクション法によりHeLa細胞に導入した。抗CESP-1抗体もしくは抗FLAG抗体と、細胞内小器官の指標蛋白質であるチトクロームc(ミトコンドリア)もしくはGRP78(小胞体)に対する抗体を用いて二重染色を行い、共焦点顕微鏡を用いて細胞内局在を観察した。同様の実験を、培養ヒト角膜内皮細胞(以下HCEC)を用いて行った。その結果、抗CESP-1抗体もしくは抗FLAG抗体によるHela細胞及び培養HCECの陽性染色部位は、ミトコンドリア指標蛋白質のチトクロームcの局在と良く一致しており、CESP-1はミトコンドリアに局在することが明らかとなった。次に、CESP-1のミトコンドリア内の局在を検討するために以下の実験を行った。家兎から、CESP-1の発現が確認された角膜の上皮及び内皮を抽出後、遠心分離法による細胞内小器官の分画を行い、ミトコンドリア画分を得た。得られたミトコンドリア画分を、ジギトニンを用いて、内膜・マトリックス画分、外膜画分、内膜画分に分離し、抗CESP-1抗体を用いたウエスタンブロット法により検討した結果、外膜画分に局在することが示唆された。