Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
患者自身の判断の下,維持力向上や疼痛緩和の目的で使用されている義歯安定剤は,顎位や義歯支持組織に対して様々な変化を生じるとの臨床疫学的報告があるもののその詳細については不明な点が多い.本研究は,正常ラットの義歯支持組織を対象として,義歯安定剤が義歯床下の顎提粘膜の血流動態および残存歯槽骨の骨吸収程度に対して与える影響について検討することを目的とした. 実験動物には,10週齢のWistar系雄性ラットを用い,実験的に形成した顎提に対して咀嚼時のみに加圧することが可能な骨吸収誘発装置を装着した.装置粘膜面の材料により,義歯安定剤群(H),粘膜調整材群(T),加熱重合レジン群(R),シリコーン系軟性裏装材群(S)あるいはアクリル系軟性裏装材群(A),および対照群(C)の6実験群を設定した.装置適用期間は1から4週までの1週間隔とし,その間定時に顎提粘膜の血流動態を計測した.装置適用期間の終了した実験動物の上顎骨を採取し,その4μmの前頭断連続切片を作製した.光学顕微鏡下で骨吸収量を計測し,1実験例についての全骨吸収量を算出した. C群の示した血流量は観察期間を通じてほぼ一定の値を示した.HおよびT群の血流量は観察期間を通じてC群に比べて僅かに小さい一定の値を維持した.HR,SおよびA群では,床装置装着直後からC群に比較して有意に減少し,その減少程度はA,SおよびR群の順に大きかった.骨吸収量はT群では最も小さい一定の値を維持したが,それ以外の群では装着期間の増加に伴って骨吸収量も増加した.骨吸収の程度は,R群で最も大きく,A,SおよびH群の順に小さい値を示した.義歯床下における血流量と骨吸収量は有意な負の相関関係(y=-0.03x+1.5,p<.001)を示したことから,義歯装着によって惹起される局所の虚血状態が骨吸収の一要因である可能性が示唆された.
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