Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
2ヶ月齢の老化促進モデルマウス(SAMP8)を、3ヶ月齢(若齢期)5ヶ月(中年期)まで飼育したコントロール3群と、対照群として、同じく2ヶ月齢まで飼育し、上顎左側全臼歯、上顎両側全臼歯、上下顎両側全臼歯の抜歯を行い、同様に3ヶ月齢、5ヶ月齢、8ヶ月齢まで飼育した9群に分けた。マウスの咀嚼能力は、試験飼料を自由に摂取させ、嚥下させた後、屠殺し、胃の内容物を取り出して、その粉砕状態をレーザー回析/散乱式粒度分布測定装置LA-920(堀場製作所製)にて粒度分布曲線より平均粒径で評価した。得られたデータは、月齢間の比較にはMann-Whitney's U testを、処置群間の比較については一元配置分散分析法を用い、多重比較にはScheffe法を用いて検定を行った。結果:臼歯喪失を伴わない群は、加齢による咀嚼能力の有意な低下を認めた(8ヶ月齢)。上顎全臼歯ならびに上下顎全臼歯を喪失させた群は、臼歯喪失を伴わない群と比較して、咀嚼能力が有意に低下した。上顎左側全臼歯を喪失させた群は臼歯喪失を伴わない群と比較して変化がみられなかった。また、臼歯を喪失させた群は加齢依存的な咀嚼能力の低下はみられなかった。結論:SAMP8における咀嚼能力は、加齢や臼歯喪失により、有意な低下が認められた。また上顎全臼歯、ならびに上下顎全臼歯を喪失させた群は、臼歯を喪失させていない群に比べ、咀嚼能力の低下が認められ、その状態が持続した。
