Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
我々は既にシスプラチン耐性遺伝子ATP7Bの抗体を用いて免疫組織化学的に口腔扁平上皮癌での発現を明らかにするとともにATP7Bの発現とシスプラチンベース化学療法の奏功度との関連性についても報告した(Oral Oncol)。本研究の実績概要として(1)当科所有の口腔扁平上皮癌細胞株を用いてATP7B高発現癌細胞株の樹立を行った。これらの内、ATP7B蛋白発現量が最大のものを選定しATP7B高発現細胞株とした(HSC-2-O7B)。この高発現細胞株とコントロール細胞株をシスプラチン及びカルボプラチンで処理し、MTTアッセイにて奏功度の変化について比較検討したところ、高発現細胞株において有意に奏効度の低下が認められた。(2)ATP7B高発現細胞株HSC-2-O7Bを用いてその発現及び活性を、アンチセンスにて抑制した後にシスプラチン及びカルボプラチンで処理したところ、抗癌剤単独で処理した細胞株と比較し有意に奏効度の向上が認められた。(3)プラチナ系抗癌剤の一つであるカルボプラチンによる術前化学療法を施行した口腔扁平上皮癌症例においても、免疫染色にてATP7B高発現の口腔癌では、有意に奏功度が低下すると共に予後不良であったことを確認した。(4)ヌードマウスに移植可能なヒト口腔癌細胞株でもATP7B高発現癌細胞株を樹立し(OCC-1-JCK-O7B)、ヌードマウスに皮下注し生着させた後、シスプラチンで化学療法を行ったところ、コントロール群と比較して臨床的奏功度は有意に低かったことが確認された。以上より、・シスプラチン耐性遺伝子ATP7Bが、プラチナ系抗癌剤の一つであるカルボプラチンに対しても耐性を示すことが確認された。・ATP7Bの阻害によりプラチナ系抗癌剤の感受性が向上することが明らとなった。
All 2006 2003
All Journal Article (2 results)
東北大学歯学雑誌 第25巻・1号(In Press)
Anticancer Research 23・2C
Pages: 1913-1915