Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
目的:高齢者における刺激唾液の糸引き度(牽糸性)と歯周病進行との関連を明らかにすることにある。方法:平成16年度の調査(ベースライン(BL))および2年後のフォローアップ(FU)調査に参加した77歳高齢者323人を対象とした。BL時には歯周組織診査と刺激唾液の牽糸性測定および質問紙調査を行った。歯周組織診査では歯周ポケット深さ(PD)とアタッチメントレベル(AL)を測定した。また、刺激唾液を採取しその牽糸性(SS)を測定した。質問紙調査にて、喫煙状態および歯科保健に関するデータを収集した。FU時の歯周組織診査はBL時と同様に行った。診査部位各点において、3mm以上のAL増加が認められた場合を歯周病進行と定義し、各個人について歯周病進行の部位割合(Aloss)を算出した。結果および考察:対象者323人のうち61.6%に歯周病進行が認められた。現在歯数群によりAlossを比較すると、単数の多い群でAlossが有意に低かった(1-9本群で8.7%、10-19本群で3.9%、20本以上群で2.1%)。喫煙状態によるAlossは、喫煙者で4.9%、喫煙経験者で4.5%、非喫煙者で3.4%と非喫煙者で低い傾向にあったが、有意差はなかった。また、歯間部清掃の頻度および過去一年間における歯科受診の有無によるAlossの差はなかった。Alossを従属変数として、唾液の牽糸性、現在歯数、BL時の歯周組織状態を独立変数として重回帰分析を行った結果、唾液の牽糸性と歯周病進行には有意な関連は認められなかった。しかし、平成16年度に行った横断調査、および平成16年度をBLとした1年間の経年調査では、唾液の牽糸性と歯周病進行に有意な関連が認められている。結論:刺激唾液の牽糸性が高い高齢者は、比較的短期間における歯周病進行リスクが高いと考えられる。
All 2006
All Journal Article (2 results)
Journal of Dentistry 34(9)
Pages: 692-698
Journal of Dentistry (in press)