Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
Tannerella forsythensisは歯周病の進行に深く関与していると考えられている細菌と同様にトリプシン様酵素を有している。しかしながら、多くの病原性を示すこの酵素がそれぞれの菌にどの程度由来するのか、それぞれの菌の産生する酵素が同様の病原性を示すのかは明らかにされていない。本研究ではTannerella forsythensisが産生するトリプシン様酵素タンパクのN-末端アミノ酸解析を行った。方法としてTannerella forsythensis ATCC43037から分離精製したトリプシン様酵素を電気泳動した後、転写、切り出しを行いエドマン法によるN-末端アミノ酸配列の分析を行った。決定したN-末端アミノ酸配列からペプチド鎖を合成しトリプシン様酵素に対する特異的な抗体を2種類作製した。作製した抗体を用いて、免疫電子顕微鏡により本酵素の菌体における局在を調べ、細胞膜に存在することを明らかとした。また、抗体のTannerella forsythensisへの歯周病原性細菌に対する特異性を確認するため、Porphyromonas gingivalis、Treponema denticolaなどのトリプシン様酵素産生菌をはじめとするいくつかの歯周病原性細菌のその酵素と交差反応を示さないことを確認した。歯周病患者の歯肉溝滲出液における本酵素の測定方法を確立し、歯周病患者の歯肉溝滲出液中の本酵素の定量を行って、歯周病の臨床症状との関係を検討するため、ELISA法の確立を行っている。本抗体は他の歯周病原生細菌よりTannerella forsythensisが産生するトリプシン様酵素に、より特異性が高いことより、臨床応用が期待される