Research Abstract |
【研究方法】 臨床経験10年以上の看護師13名(全員女性)を対象に,自作のインタビューガイドに基づき半構成的面接を行った。分析方法は,対象者の同意を得て録音した面接内容を逐語録に起こし,コーディングして類似性・差異性によってカテゴリー化した。その後,複数の看護研究者で検討・継続比較分析して概念抽出を行った。 【結果】 対象者の年齢は平均44.9歳(SD±7.2)で,臨床経験年数は平均21.7年(SD±4.2)であった。解剖生理学的知識の必要性を認識する経験として21のカテゴリーが見出され,これに基づいて概念抽出した結果,1.『安全と安楽を保障する看護実践』,2.『予測能力』,3.『疾患や病態生理などの理解』,4.『教育・指導』,5.『知識の獲得意欲』,6.『説明責任能力』」7.『判断能力』,8.『専門職の自覚』という8つのコアカテゴリーを見出した。 【考察】 これまでも看護を行う上で解剖生理学的知識は必要であるといわれてきたが,漠然とした認識によるところが多かった。本研究結果から,エキスパートナースたちは様々な経験を通して,正確な解剖生理学的知識を持つことにより,患者に対する安全と安楽を保障できるということを認識し,また知識を活用しなければ教育・指導,予測能力や説明責任を果たすことができないと考えていることがわかった。また知識の活用は専門職の自覚を促すとも考えており,解剖生理学的知識の活用範囲を広く捉えていることが,これらの経験から明らかになった。
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