Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本年度は研究の最終年度でもあり、"事前に発見・防止が行われたか否か"という視点に着目して実施した、国内の大規模一般病院の安全管理担当看護師と協力してもらった病院の各病棟の病棟看護師を対象とした有害事象の報告書(事故報告書・ヒヤリハット報告書・ニアミス報告書など)の分類方法、安全文化などに関するアンケート調査の検討を重点的に行った。また、希望する病院への報告書の送付を行った。有害事象の報告について"事前に発見・防止が行われたか否か"に着目した視点と報告全体に占めるヒヤリハット・ニアミス報告の割合との間には関連がみられ、この点に着目した制度が、ヒヤリハット・ニアミスを含めた有害事象の報告率に影響する可能性が示唆された。さらにこのような制度の採用が病院の安全文化へ影響する可能性も考えられた。電子化や安全管理担当看護師の専門化などの病院全体の安全管理体制の向上と"事前に発見・防止が行われたか否か"に着目した視点、また病院の安全文化との間に関連があることが示唆された。ヒヤリハット・ニアミスを含む有害事象について"事前に発見・防止が行われたか否か"という視点に着目した安全管理活動は、事故防止システムや安全文化などと複雑に絡み合っており、病院全体の医療安全に貢献する可能性が示唆された。今後は"事前に発見・防止が行われたか否か"に着目した報告の具体的方法の開発、さらには提出された報告を病院の安全文化の向上を含めた病院全体の医療安全へ有効に生かしていくための具体的な活用方法とその評価方法の開発が必要であると考えられる。