Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究の目的は、働く女性の性周期に対する認識と性周期に関連したセルフケアの実践状況を明らかにし、働く女性の健康という視点から、性周期に応じたセルフケア能力の向上に向けた看護援助の方向性を見出すことである。研究1として、働く女性の性周期に対する認識とセルフケア経験を明らかにすることを目的に質的研究を行った。ネットワークサンプリングにより協力者を募集し、20歳代後半から30代の女性で、首都圏に勤務する9名の協力者を得、データ収集を行った。協力依頼時には、研究の趣旨、協力方法、自由参加および途中辞退の権利、プライバシーの保証等について文書を用いて説明し、研究参加への承諾を得た。質問紙調査および面接調査の結果、5名を分析対象とし個別分析の後、全体分析を行った。性周期に対する認識では、月経困難症状やPMS症状の有無に関わらず、性周期の存在を肯定的に捉えており、性成熟期の一般的傾向が認められた。セルフケア経験については、PMS症状の存在に気づいており、就労を含む日常生活にも影響を認めてはいるものの、それに対し具体的なセルフケアは行われていなかった。一方、月経困難症状に対するセルフケアとしては、主に鎮痛剤が使用されており、思春期女性に見られるような鎮痛剤使用への抵抗感は認められなかった。しかし、鎮痛剤使用以外のセルフケアはほとんど行われておらず、その要因としては、症状が就労に影響しないよう確実な鎮痛を得る必要性が挙げられた。また研究2として、研究1の結果を踏まえたアンケート調査用ウェブサイトを作成し、システムの試行を行った。今後は、アンケート調査の結果から看護の方向性を見出すべく研究を進めていく。