Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本研究では,患児および家族のQOL向上をめざす要因のひとつとして、患児の学校生活の実態把握と今後の課題について検討した。養護教諭を対象に行った,慢性の疾患を有する患児を取り巻く学校環境の現状と課題に関する調査からは,患児が「友だちの目を過度に気にする傾向」や「活動の制限があるため,何をやってもダメだと無気力になりやすいこと」,「自己主張が苦手であること」,「消極的であること」など,患児と他の児童・生徒とのかかわりのあり方への配慮や具体的な支援の必要性を認識していることが示唆された。このような患児を受け入れていくための学校側の体制として、「患児の病気に関する事実の共有」に連携の焦点があてられていることが明らかになった。学校側としての患児への心理社会的支援上の課題として,(1)自信をもたせるよう本人ができることを最大限にさせる,(2)病気であることを過度に意識させないようにする等の4点にまとめられた。患児の親については,(1)親自身の不安や葛藤を受け入れる,(2)親の学校に対する要望と学校として実際に出来ることとの妥協点をみいだすためのサポートを行うことの2点にまとめられた。他の児童・生徒については,必要に応じて緊急時の患児への対応を含めて,病気への理解を深めさせることが課題であることが示された。 一方、日本の慢性疾患患児をめぐる学校環境と対比して,米国ワシントン州にある人口約4万人の造船工業都市であるBremerton市のBremerton学区12校を受けもっている3名のスクールナースの実践について調査した。その結果、スクールナースはあくまでの医療職として位置づけられ、患児の身体面の管理を中心に、薬物管理や患児や家族を対象に個別の病気管理のサポートを行っている現状が明らかになった。日本では、医療機関-家庭-学校の連携を叫ばれつつも、実際の連携は十分でなく、患児の生活の全体を見通しトータルな視点でかかわることができる人物が必要であることから、学校現場における身体面の管理の充実を図ることは今後の重要な課題のひとつであると考えられた。また、心理面については、患児の成長にあわせ、継続的な視点で適切な支援ができるよう、カウンセラーが医療機関-家庭-学校とつながる役割を担うことも可能性のひとつとなりうるのではないかと考えられた。
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