Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武尾 実 東京大学, 地震研究所, 教授 (00197279)
大湊 隆雄 東京大学, 地震研究所, 助手 (70322039)
石原 和弘 京都大学, 防災研究所, 教授 (30027297)
渡辺 秀文 東京大学, 地震研究所, 教授 (20113649)
大久保 修平 東京大学, 地震研究所, 教授 (30152078)
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Research Abstract |
本研究では2004年9月1日から始まった浅間山噴火について,噴火災害を未然に防ぐために,地球物理学,地球化学,地質学からなる総合的な緊急調査を実施することによって,浅間山の噴火活動の評価を行うこと,および,それで得られた成果を今後の噴火予知研究に役立てることを目的とした.その結果,観測データと過去噴火との比較から現在の噴火活動の見通しについて情報を得たほか,地下マグマの移動に関する地震学的情報,爆発的噴火のモデル,噴火に先行する重力的変化や地殻変動等について浅間山火山について,噴火予知研究に関する多くの情報が得ることができた.得られたデータはその都度,火山噴火予知連絡会に報告され,浅間山の噴火活動の評価に役立てられた. 1)火口を取り囲む地震観測網の整備により,山頂火口から地下約4kmまで狭い範囲でB型地震の発生域,海水準下約1.5kmで西側に広がるA型地震域が見つかった.それぞれ火道と板状マグマポケットの上端と推定される.全てのブルカノ式爆発地震の波形解析から蓋の除去とそれに引き続き発泡・爆発イベントが解読できた.2)9月噴火に約1ヶ月先駆けて板状のマグマポケットが膨張したことが確認された.また,その膨張は10月以降も継続している.3)主な噴火に先立って,浅間火山観測所に設置した絶対重力計が増加から現象に転じることが認められ,マグマの火道上昇を捉えることができた.4)火山ガス中の二酸化硫黄の濃度は噴火開始後次第に増加し,9月末に日量約5000トンに達し,その後2000-3000トンで推移しており,依然として活発な活動が継続している.4)噴出物量は山頂部のものを除いて1回当たり5万トン以下程度である.また,部分溶融した珪長質火山岩が特徴的に含まれる.表面上は1973年噴火と似るが,地震の起こり方,噴火の規模,噴出物種等からすると両噴火は異なる.今後も注意深い観測と活動の評価が必要である.
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