Project/Area Number |
16800056
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
國井 修 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (30265243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 正洋 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (60024684)
門司 和彦 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (80166321)
錦織 信幸 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手
梅村 孝司 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (00151936)
河野 茂 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80136647)
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Project Period (FY) |
2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Keywords | 感染症 / 津波 / 衛生 / 人間生活環境 / 国際貢献 |
Research Abstract |
[目的]スマトラ島沖地震津波による感染症流行リスク、感染性疾患発生・対策ニーズを明らかにするため、基礎データを収集し、継続的調査研究の実行可能性、具体的方法論・枠組を検討する。 [方法と結果]1)現状分析:インドネシアとスリランカの保健省・地方衛生局、WHO、医療機関、避難所などで津波前と後の感染症流行に関する情報を収集したところ、サーベイランス上は大きな感染症流行は認められなかったが、避難所での症例の早期発見・早期診断・早期治療を行うための体制は十分ではなかった。2)水・衛生:スリランカ5避難所における給水・井戸水の水質検査、トイレの設置・管理状況の調査を実施し、井戸水の汚染、劣悪なトイレ設置状況が確認された。3)下痢症・ロタウィルス:スリランカにおける発生状況調査を行い、現在のところ大流行はないが、今後のサーベイランス強化の必要性が認められた。4)媒介蚊および蚊媒介疾病:被災地で媒介蚊・ボーフラを観察し、インドネシアでは汽水域発生性のマラリア媒介蚊の発生が認められ、デング熱媒介蚊の発生は今のところ多くなかった。スリランカでは、津波によりフィラリア媒介蚊フリーの水域が現れていた。蚊媒介疾病の大流行は今のところ認められていない。5)呼吸器感染症・結核:スリランカの被災地・非被災地における呼吸器感染症・結核の発生状況調査を行い、3避難所で上咽頭ぬぐい液の検体を収集し、ウィルス分離、薬剤感受性試験などを行った。避難所における呼吸器感染症の伝播は高く、結核の伝播リスクも高いと考えられた。6)人獣共通感染症:スリランカにおける狂犬病の流行や対策に関する情報収集を行い、南部2被災地において住家性げっ歯類の血液を採取し、ハンタウィルス、レプトスピラ、トキソプラズマ、リューシュマニアに対する抗体保有率、野犬の糞便を採取し、エキノコックスの抗原保有率、イヌ回虫の虫卵保有率、赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫、クリプトスポリジウムの感染率などを調べ、現時点では津波による明らかな感染症流行があるとはいえないが、人獣共通感染症のリスクは高いと考えられた。 [考察]現時点では集中的な対策などにより、感染症流行が抑えられていると考えられるが、依然、感染症リスクは存在し、今後の継続的な調査が必要である。
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