Project/Area Number |
16F16359
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
Nanomaterials engineering
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小関 敏彦 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70361532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHIN SE-EUN 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2017)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2017: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2016: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 鉄鋼材料 / 強度 / 延性 / 複層 / マルテンサイト / 結晶学 / その場観察 / Multilayer steel / Martensite / TRIP steel / TWIP steel / Deformation behavior / Strengthening behavior / In-situ observation / Mechanical properties |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室では高強度鋼と高延性鋼を幾何設計および界面制御をして複層化することにより、脆性な高強度相の延性向上を達成できることを明らかにしてきた。それを利用して、従来解明することができなかった超高強度を示すマルテンサイト相の変形挙動を研究することが可能になり,これまでマルテンサイトの変形過程におけるすべり系選択の異方性や局所的な結晶方位回転,ひずみ分布などを明らかにしてきた。一方で,よりマクロな組織形態や組織分布が及ぼす影響については解明に至っていない。そこで本共同研究では、マルテンサイトの変形過程において、マルテンサイトを構成する階層組織であるブロックやパケット,旧オーステナイトの挙動を結晶学的に解析し、階層組織の形態や配向性がマルテンサイトの変形挙動に及ぼす影響を解明することを目的に研究を行った。まず試料として中炭素マルテンサイト鋼とTWIP鋼の鋼板を用意し,マルテンサイト/TWIP/マルテンサイトの構成になるように重ね,熱間圧延によって界面接合させることで,複層鋼板を作製した。この試料に対して,マルテンサイトの階層的な組織サイズを変化させるための熱処理を施した後に,SEM/EBSD (electron backscatter diffraction)によって組織の結晶方位解析を行い,これら階層的な組織を評価した。さらに引張負荷によるひずみ5%, 10%, 15%, 20%の変形を与えた後,同じ観察場所に対してEBSDによる結晶方位解析を行い,変形中の組織変化をその場観察し,変形のしやすさを結晶方位回転の度合いで評価した。変形のその場観察を行い,ブロック内部の結晶回転を評価するKAM (Kernel Average Misorientation)の変化や,変形によって生じるサブバウンダリーの増分について検討した結果,マルテンサイトの階層組織であるブロックの配向性やパケット内におけるブロックの位置が変形挙動に影響を与えている因子であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複層鋼板の熱処理条件を検討し、高強度層の100%マルテンサイト化と高延性層の100%オーステナイト化を両立する試験条件を導出した。マルテンサイト相の初期の組織的特徴を光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、電子後方散乱回折(EBSD)を用いて明らかにした。また熱処理後の複層鋼板から引張試験片を採取し、マルテンサイト相の基本的な引張特性を評価するとともに、ひずみレベルを段階的に変えて、デジタル画像相関法(DIC)およびSEM, EBSDで初期組織の段階的変化の検討を進めた。また、並行して、結晶塑性有限要素法(CPFEM)のパラメータの検討を行い、実験で得られたマルテンサイト相の引張試験特性を再現するパラメータを決定し、初期組織条件としてEBSDの結果を用いて計算を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
ひずみレベルを段階的に与える引張試験によって、すべり帯の発生と組織、結晶学的特徴との関係を明らかにし、マルテンサイトの階層組織および組織の異方性の影響を明らかにする。特に結晶学的にはマルテンサイトブロックサイズの影響、ブロックごとのシュミットファクターの影響、ラスマルテンサイト成長方向ならびにせん断変態の晶壁面の影響を明確にし、組織の異方性による特異な変形挙動を明らかにする。さらに多結晶マルテンサイトのすべり変形時のひずみの集中やひずみメカニズムの選択の規則を見出す。またCPFEMによってこれらの結果を再現し、マルテンサイトの変形機構およびそれらの支配因子に関する考察を行う。これらの結果をジャーナル論文としてまとめる。
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