Project/Area Number |
16H00021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
史学
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Research Institution | 千葉県教育庁教育振興部文化財課 |
Principal Investigator |
神野 信 千葉県教育庁, 教育振興部文化財課, 主任上席文化財主事
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Project Period (FY) |
2016
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2016)
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Budget Amount *help |
¥440,000 (Direct Cost: ¥440,000)
Fiscal Year 2016: ¥440,000 (Direct Cost: ¥440,000)
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Keywords | 鉄器生産遺跡 / 微細生成物の採取方法 / 鉄器生産にかかる遺跡形成の過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本考古学における鉄器生産研究は、生産遺構からの最終製品の出土が稀であるため、操業時に排出された微細生成物を採取し、それらを分類・数量化することで操業内容・技術的レベルを解明する研究手法がとられている。その中核としての統一的な資料採取方法は、生成物から得られる情報の比較検討を可能にしたが、その解釈は後手に回っている。本研究では、鉄器生産における生成物発生とその後の経過を把握することで、生産遺構から得られる情報の解釈及び調査方法の深化に寄与することを目的とする。 本研究では、床面に鍛冶装置を置き、工人が座位で操業するラオス北部の鍛冶工房を対象に20cm方眼による床上堆積物の採取、水洗選別、分類を行い、作業内容との比較検討を行った。調査対象は、①操業10年以上の鍛冶工房、②廃棄後1年経過の鍛冶工房、③設置後1ヶ月の鍛冶工房、④操業時以外は鍛冶装置を撤去する鍛冶操業空間とし、平成28年12月24日~31日にラオス・ファパン県で現地調査を実施した。 調査の結果、①②では床面全域に鍛造剥片とその粉末、木炭粉、細砂混じりのホコリ層が形成され、単位面積当たりの鍛造剥片出土量は鉄床からの距離でなく、床面の微細な高低差によって異なった。また、鍛造剥片のサイズによる分布は、①で鉄床下のホコリ層上に大きものが集中して分布するが、②では顕著な集中は認められなくなる。これは工人の作業動作及び清掃行為による拡散で、ホコリ層形成要因でもあることを③で確認した。また、鍛冶滓片はホコリ層に含まれず、作業空間外に排出する行為を反映していた。④では鍛冶生成物は視認できず、磁選により鉄床周辺で若干の鍛造剥片を採取するに止まった。 この調査成果により、鉄器生産にかかる遺跡形成の過程を知る手掛かりが得られ、微細生成物の資料採取にはホコリ層の有無の把握が鍵であり、その後のデータ解釈に大きな影響を及ぼすことを明らかにした。
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