木製遺物と民具の用材分析に基づく近世・近代の木材流通の様相の解明
Project/Area Number |
16H00028
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
史学
|
Research Institution | 東京都埋蔵文化財センター |
Principal Investigator |
鈴木 伸哉 東京都埋蔵文化財センター, 調査研究部調査課, 調査研究員
|
Project Period (FY) |
2016
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2016)
|
Budget Amount *help |
¥420,000 (Direct Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2016: ¥420,000 (Direct Cost: ¥420,000)
|
Keywords | 木製品 / 年輪年代学 / 非破壊分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺跡から出土した木製品および民家所蔵の民具の用材分析に基づき、近世・近代の木材流通の様相およびその背景となる森林資源利用の歴史的変遷の解明を目的とした。そのために、遺物・民具の樹種同定および年輪年代学的検討をおこなうことで、素材となった木材の生育年代や生育環境、原産地の推定をおこなった。なかでも漆器は磁気共鳴画像法(MRI)およびコンピューター断層撮影(CT)を用いた非破壊分析によって木胎部の観察をおこない、これまで未開拓であった近世・近代の漆器生産・流通史の復原を試みた。 東北地方の旧家に保管されていた漆椀類をマイクロフォーカスX線CTによって撮像し、年輪計測をおこなった。得られた年輪データ間のクロスデートをおこない、さらに現生ブナの標準年輪曲線とクロスデートを試みた。これまで得られた年輪データの検討の結果、同一のセット内の個体間で高い類似度でクロスデートし、同一母材をもとに製作されたと推定されるものも認められた。また、年輪曲線が岩手県内のブナの標準年輪曲線とクロスデートするなど、漆器木地の産地を推定する方法として年輪年代学的アプローチは有効であることが明らかとなった。今後の資料の蓄積によって年輪曲線の拡充を図り、こうした検討の有効性を確認する。 MRIは、磁気共鳴を利用して対象物に含まれる水素原子を画像化する方法であり、木質内に豊富に水分が含まれる遺跡出土の木製品・木材の内部を可視化するのに適していることが予想された。そこで実際の出土木製品と同様の、含水率の高い状態に調製した現生木試料を、臨床用MRI装置を用いて撮像し、年輪計測を試みた。その結果、木材の保存状態に応じて撮像条件を最適化することで年輪計測に利用可能な画像が得られることが明らかになった。この方法を用いることで、さまざまな木製品や漆器など、従来は対象とし得なかった木質遺物の年輪計測が可能になる。
|
Report
(1 results)
Research Products
(6 results)