Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 : 本研究では, モデル生物であるゼブラフィッシュを活用し, 中学校・高等学校の「動物の発生」の学習において, 生徒のアクティブ・ラーニングを一層促進させるために, 動物の胚発生について動的かつ系統的に学ぶ教材「ZL(ゼブラフィッシュ・ラーニング)」を開発し, 中学校第2分野および高等学校生物の授業に導入し, その効果を検証することを目的とした。 ○研究方法 : 本研究では, 始めに「ZL」の中学校版・高等学校版をそれぞれ開発した。「ZL」には, ゼブラフィッシュの胚発生に関するテキストや映像資料とともに, 学習課題や他者との議論・意見交換用のページ, レポート作成用のページといった項目を設定した。また, テキスト・映像資料等については, 生徒用のタブレット端末に導入した。次に, 中学校3年生3クラス(119名)を対象とした中学校理科第2分野の単元「生命の連続性」における中学校版の授業実践と, 高等学校3年生生物選択クラス(30名)を対象とした高等学校生物の単元「生殖と発生」における高等学校版の授業実践を行った。最後に, 生徒の学習活動・議論の記録やレポート課題等の分析を行い, 主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点からの教材としての効果を検証した。 ○研究成果 : 中学校の実践においては, レポート課題の評価の結果から, ゼブラフィッシュの胚発生の過程のみならず, 「生命の連続性」について深く理解している生徒が約9割に達し, 教材としての効果を確認することができた。また, 高等学校の実践においては, 定期テストにおける調査課題の解答結果から, ゼブラフィッシュと他の動物の胚発生における共通性と多様性について深く理解している生徒が約7割に達した。また, 単元「生物の系統と分類」の学習において「ZL」での学習内容を活用し, 動物の系統関係について深く理解している生徒が約6割に達し, 概ね教材としての効果を確認することができた。
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