Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究目的 工業高校生が小・中学校や地域に出向き, ものづくり実験を行うことで, 産業教育の活性化に資するとともに, 工業高校の魅力を発信したいと考えた。本研究では, 工業高校生が小・中学生を対象にものづくりに関する理科実験を行い, 実験による教育効果を工業高校生および, 小・中学生に対してそれぞれ質問紙法による調査で分析をして考察をする。また, ガラスと結晶の違いを知る理科実験を考案することについても検討する。 2. 研究成果 工業高校生が小・中学生を対象に視覚教材を用いてわかりやすく簡単な理科実験を提供した。質問紙法を用いた調査では工業高校における社会人基礎力を調査するにあたり, タスクマネジメント能力・工学的センス・ものづくりの心について18項目4段階の質問を行い, 数値化することで分析をした。初期値を基準にしたとき, 中間値では減少した項目もあったが, 最終調査では全ての項目において上昇していた。中間値で減少した理由は本人の想像と異なることや, 練習不足であったこと等が影響したと考えられる。タスクマネジメント能力と工学的センスに関する質問では平均で約110%程度の値であったが, ものづくりの心については平均で124%となり, 最も高い値をとった。このことから工業高校生が理科実験を行うことで最終的には思考力や判断力などが特に向上し, 理科実験を行う価値を数値として示すことができた。 また, 小・中学生における調査結果では講座に参加した合計137名を対象とし, 肯定的な意見がほとんどであり, 意見欄には「丁寧に教えてくれた」等の意見があったほか, 生徒の課題になるような意見もあった。 ガラスと結晶の違いに関する理科実験として工業高校生がアクセサリーを製作する講座を提案した。今後実践をする予定である。 本研究で得られた知見から工業高校生および, 講座対象者である小・中学生の双方に肯定的な影響を示すことが数値として示すことができた。
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