Outline of Annual Research Achievements |
電気・電子系の学生実験等において感光基板を用いて回路のプリント基板を製作する機会が多く, 目の損傷や人体に有毒等の危険な化学製品を使用した作業を行うことから, 学生の怪我や事故に十分注意する必要がある。そこで本研究では, 化学製品を安全に取り扱うための情報が記載されたSDS (Safety Data Sheet : 安全データシート)を活用し, プリント基板製作に使用する化学製品に特化した安全対策に関する安全教育教材の開発を行った。 今回開発した教材は, プリント基板製作の使用化学製品の現像剤, エッチング液, フラックスのSDSに基づいて危険有害性や保護措置等の安全対策に必要な情報と作業手順をまとめ, フリーソフトのSigilを使用し, 画像を基本とした固定レイアウトのEPUB形式の電子書籍を作成した。教材を学内ネットワークに配信するため, ネットワーク接続ハードディスクを用いてファイルサーバを構築し, 有線及び無線LANに接続したPCやタブレットのWebブラウザから教材のダウンロードを行い, iBooks等を使用して電子書籍を閲覧することができる。 教育効果を検証するため, 小山高専電気電子創造工学科のプリント基板製作を行う学生実験の安全教育に利用し, 学生24名を対象としたアンケート調査を実施した。アンケート結果から使用化学製品の危険有害性については約7割, 必要な保護具については8割以上の学生から「理解できた」との回答があった。さらに「わかりやすかった」「電子書籍を積極的に使っても良い」との意見もあり, 学生は電子書籍に興味を持ち, 化学製品の危険性等を概ね理解し, プリント基板製作の作業を行ったことがわかった。 しかし, ミニドリルを使用した基板の穴開け作業時において2件のヒヤリハットが起きたことから, 今後はミニドリルの使用方法や危険性に関する安全教育の教材を作成する予定である。
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