Project/Area Number |
16H00327
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
地球惑星科学・地学
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Research Institution | 北海道紋別郡遠軽町役場総務部ジオパーク推進課 |
Principal Investigator |
佐野 恭平 北海道紋別郡遠軽町役場総務部ジオパーク推進課, ジオパーク推進課, 技師
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Project Period (FY) |
2016
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2016)
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Budget Amount *help |
¥550,000 (Direct Cost: ¥550,000)
Fiscal Year 2016: ¥550,000 (Direct Cost: ¥550,000)
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Keywords | 黒曜石 / 酸化組織 / ラマン分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
高粘性マグマが爆発・非爆発噴火に至る過程を理解する上で、マグマが経験する脱ガス・酸化のプロセスを示す物質科学的な証拠を得ることは重要である。本研究の目的は、ラマン分光法を用いて黒曜石にみられる酸化反応組織のガラス及び含まれる鉄チタン酸化物結晶のラマンスペクトルを取得し、“赤い”黒曜石に見られる赤色酸化組織の形成過程を明らかにすることである。 本研究で用いた試料は、北海道遠軽町白滝地域に産する赤石山山頂部溶岩の赤色及び黒色な黒曜石である。これらを肉眼スケールでの酸化組織の違いに基づき岩石試料を採取し、分析を行った。 神戸大学研究基盤センター所有の顕微レーザーラマン分光分析装置(日本分光社製NRS-7100)を用いて分析を行った。得られたラマンスペクトルと先行研究との比較から、鉄チタン酸化物はマグネタイト・ヘマタイトと同定された。また、赤色及び黒色部ではマグネタイトとヘマタイトがそれぞれ共存していることが明らかとなった。一方、ガラス部分のラマンスペクトルは450~500[cm^<-1>]と650~700[cm^<-1>]にそれぞれブロードなピークが現れることから、酸化状態に対応したガラスのネットワーク構造をこれらの波数領域が反映していると考えられる。 顕微鏡観察およびラマン分光分析の結果から、黒曜石の赤色酸化組織の形成過程を考察した。歪によるメルトの破砕により開放系脱ガスが起こり、破砕部分は酸化し、ナノスケールのヘマタイトが晶出した。破砕を免れたメルトはこの時酸素と接触し、一部赤色酸化した。破砕部は非破砕部のメルトを取り込みながら、破砕・酸化と焼きなまし(annealing)を繰り返し、不均質な酸化組織を形成し、最終的に溶岩として定置した。肉眼での橙色及び赤色の違いは、破砕によるナノスケールのヘマタイトの晶出(橙色部)と、破砕を免れた部分の酸化(赤色部)を反映していると考えられる。
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