Outline of Annual Research Achievements |
【目的】 建設発生土や建設廃棄物を利用した植栽基盤の硬度, 透水性および化学性の把握には, 主に自然土壌を対象とする従来の植栽基盤調査方法をそのまま適用させることは困難であった. このような植栽基盤にも適用可能な調査方法を構築し, 建設発生土などが多く利用された福井県内7箇所の植樹地について, 植栽基盤に関する基礎データの取得を目的とする研究を行った. 【方法】 硬度 : 簡易動的コーン貫入試験機を用いた測定を行った. 一般的にNd値>10で樹木の根は伸長が困難とされているが, 対象とする植栽基盤では, Nd値>10であっても樹木の根は石や瓦礫の空隙に沿って伸長していた. このような植栽基盤では, 樹木の根の伸長を阻害する要因は主として不貫入層と地下水の存在と考えられるため, 本試験の目的は不貫入層および地下水位の確認とした. 透水性 : 長谷川式簡易現場透水試験器を用いた測定を行った. 対象とする植栽基盤では, 従来の測定方法では, 試験穴壁から多くの石や瓦礫が落下し, 測定誤差が生じやすかった. そのため, 塩ビパイプを加工した試験穴壁用のカバーを用いて同方法により測定を行った. 化学性 : 対象とする植栽基盤はリター層を除いて明確な土壌層位が確認できないため, 原則として表層から10cm毎に50cmまでの試料を採取した. 試験項目は酸性度, 電気伝導率, 全有機炭素, 全窒素, リン酸, 交換性陽イオン, 陽イオン交換容量とした. 【結果】 簡易動的コーン貫入試験を7植樹地の計19箇所, 長谷川式簡易現場透水試験を7植樹地の計14箇所で行い, 各植樹地の不貫入層, 地下水位および透水性を明らかにした. 化学性については試料数が非常に多く, 測定に時間を要するため現在も継続して測定を行っている. 今後は本研究結果と各植樹地の植生調査結果を照合し植栽基盤が植生に及ぼす影響について考察を行う予定である.
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