Project/Area Number |
16H00495
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅰ
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
山田 尚広 浜松医科大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2016
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2016)
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Budget Amount *help |
¥570,000 (Direct Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2016: ¥570,000 (Direct Cost: ¥570,000)
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Keywords | FM03 / 遺伝子多型 / 薬物動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 : VRCZによる皮膚障害の要因は、皮膚組織内で代謝され生成されたVRCZのNオキシド体であるVNOが紫外線のUV-Bを吸収し励起状態となり、フリーラジカルを発生させることによると推定されている。VRCZ投与患者におけるVNO濃度を測定し、皮膚障害の発現頻度との関連性について解析する。そして皮膚障害発生に関してVNO濃度を指標とした中毒域を探索をし、関連する代謝酵素の遺伝子多型やその他患者背景を含めてVNO濃度が高値となりうるリスク因子についても抽出する。 ○研究方法 : VRCZ及びVNOの動態に影響を与える因子の解析として、薬物代謝酵素の遺伝子解析を行った。VRCZの投与を受けている患者65名を対象とし、投与開始5日目以降にトラフポイントでの採血を行った。血中VRCZ濃度、VNO濃度、それらの代謝比(VNO/VRCZ)に対するCYP2C19(高代謝型、中間型、低代謝型)およびFMO3(野生型、E158K/E308G変異型、V257M変異型)の各遺伝子型の影響を群間比較した。さらに重回帰分析により、血中VRCZ濃度、VNO濃度、代謝比に及ぼすCYP2C19およびFMO3の遺伝子変異の影響度についても比較した。 ○研究成果 : CYP2C19の遺伝子変異は、血中VRCZ濃度とその代謝比に影響を及ぼさなかった。FMO3の遺伝子変異の影響については、血中VRCZ濃度は野生型群に比べ、E158K/E308G変異型群で有意に低値を示し、代謝比はFMO3の野生型群に比べ、E158K/E308G変異型群で有意に高値を示した。一方、血中VNO濃度へのE158K/E308G変異の影響は認められなかった。また、重回帰分析から、血中VRCZ濃度、代謝比に対するFMO3のE158K/E308G変異の寄与は、CYP2C19の遺伝子変異よりも有意に大きいことが示された。以上から、FMO3のE158K/E308G変異は、VRCZの代謝亢進に伴う血中濃度低下に寄与することが示された。さらに、そのFMO3の遺伝子変異は、CYP2C19の遺伝子変異に比べ、VRCZ、VNOの血中動態を規定する要因となる可能性が示された。この結果は、皮膚障害と関連するVNO濃度が高値となるリスク因子の一つを見出したものとして重要である。
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