寛解期検体を用いた、急性骨髄性白血病前駆クローンの検出およびその臨床的意義の解析
Project/Area Number |
16H00681
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
臨床医学C
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
服部 光 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2016
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2016)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2016: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / 次世代シーケンサー / 個別化治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性骨髄性白血病(AML)症例における治療後、寛解期の造血幹細胞もしくは前駆細胞レベルにおけるAML発症に関わるinitiating変異の存在について明らかにすること目的とした。 まず本態性血小板血症(ET)より移行したAML症例のET診断時およびAML発症時の骨髄検体で、骨髄性腫瘍にて特に変異頻度の高い54遺伝子について5000リード以上のディープシークエンスを行った。その結果、ET時にはJAK2変異のみ、AML診断時には低頻度のJAK2遺伝子変異および、TP53遺伝子変異を同定した。次に寛解時検体を用いて遺伝子変異解析をおこなったところ、JAK2遺伝子変異割合が増大し、TP53遺伝子変異割合は減少していた。さらに、初診時検体の白血病細胞分画(CD45dim, CD34+, CD117+)および、寛解時検体をCD34・CD38で造血幹細胞・前駆細胞分画をソートし、それぞれJAK2遺伝子変異、TP53遺伝子変異を解析した。その結果、AML発症時の白血病細胞分画ではTP53遺伝子変異のみが検出され、寛解時検体の造血幹細胞分画(Lin-, CD34+, CD38-)にはJAK2遺伝子変異のみを検出した。また、ET診断時の検体よりもディープシークエンスでAML発症時のTP53遺伝子変異がアレル頻度1%程度で存在していた。これらより、当症例ではET診断時、寛解時検体の解析結果からETクローンとは異なる、わずかに存在したTP53変異を有したクローンに何らかの分子以上が蓄積した事によりAMLを発症したと考えられた。そして、寛解導入療法によりTP53変異が認められるAMLクローンが駆逐され、完全寛解期には再度、JAK2変異を有するETクローンが優勢になっていることが明らかになった。 このように次世代シーケンサーを用いたディープシークエンスによるAML発症時及び寛解期に存在するクローン性の詳細な解析により、AMLの予後層別化および個別化治療法の確立に大いに役立つと考える。
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Report
(1 results)
Research Products
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