Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 発達障害児および定型発達児における, 新版K式発達検査2001(新K式)の発達指数(DQ)とWISC-Ⅳの知能指数(IQ)の関連を明らかにすることを目的とした。 【研究方法】 愛媛大学医学部附属病院子どものこころセンターおよび小児科, 精神科を受診した5~10歳の患者のうち, DSM-5の診断基準を用いて自閉スペクトラム症(ASD)と診断され, 本研究への参加同意が得られた9名(男児:女児=8:1, 平均月齢99.7±21.3ヶ月)をASD群とした。うち5名は注意欠如・多動症の併存があった。定型発達群は通常学級に通う児童6名(男児:女児=3:3, 平均月齢86.2±16.7ヶ月)とした。両群に新K式とWISC-Ⅳを1ヶ月以内に実施し, 各指数の比較検討を行った。比較には, 全検査領域(全領域DQと全検査FSIQ), 言語性領域(言語・社会DQと言語理解, ワーキングメモリー), 非言語性領域(認知・適応DQと知覚推理, 処理速度)の3領域を用いた。統計にはSpearmanの順位相関係数を用い, 有意水準はBonferroniの補正を行った上でp<.002とした。 【研究結果】 ① ASD群内の新K式とWISC-Ⅳの比較 ASD群内の比較では, 言語・社会DQと言語理解に強い相関を認めた。ASD群9名のうち7名が言語・社会DQ>言語理解であった。他の指標においては相関を認めなかった。 ② 定型発達群内の新K式とWISC-Ⅳの比較 定型発達群内の比較では, いずれの指標においても相関を認めなかった。 【考察】 ASD児においては, 言語発達面においてのみ新K式とWISC-Ⅳに相関が認められたが, 新K式DQがWISC-ⅣIQよりも高く算出されやすいことが推測された。新K式とWISC-Ⅳは異なる背景を持つ検査であり, 縦断的な評価には慎重を期す必要があることが示唆された。今後も症例数を増やし, 更に検討する予定である。
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