Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
「目的」歯周炎の重症度と関連する唾液中microRNA(miRNA)を探索すること。「方法」2016年に岡山大学病院予防歯科を受診した慢性歯周炎患者を対象とした。軽度歯周炎患者26名(男性6名、女性20名)と重度歯周炎患者36名(男性14名、女性22名)が選ばれた。各々の安静時唾液からmiRNAを抽出した。各々のmiRNAを各群において3つずつの混合サンプルとし、炎症と免疫に関わる84種類のmiRNAを網羅したマイクロアレイを実施した。それらのmiRNAのうち、軽度歯周炎群と重度歯周炎群のmiRNA発現量を比較し、2倍を超えて異なるmiRNAを歯周病バイオマーカーの候補とした。また、選別されたmiRNAに対して、オンラインツールのDIANA mirPath v.3を用いてパスウェイ解析を行い、その機能を推定した。「結果」hsa-miR-381-3p、hsa-miR-144-3p、そしてhsa-miR-543の発現量が、重度歯周炎群の方が軽度歯周炎群より2倍を超えて高かった。一方、hsa-miR-30b-5pの発現量は重度歯周炎群の方が軽度歯周炎群に対して0.5倍未満であった。統計学的に関連性の高いパスウェイは、hsa-miR-381-3pではTGF-beta signaling pathway、hsa-miR-144-3pではGap junction、hsa-miR-543ではPrion diseasesであった。「結論」軽度歯周炎群と重度歯周炎群において発現量が2倍を超えて異なるmiRNAが4種類存在し、いずれも歯周病バイオマーカー候補である可能性が示唆された。また、パスウェイ解析によって、これらの機能が推定できた。「今後の展望」本研究の限界は、歯周炎以外の因子の影響について細かく検討できていないことと、横断研究であることである。いずれも、今後の検討課題である。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。