Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
シガトキシン3Cは、渦鞭毛藻が産生し強毒性を示す希少天然物で、熱帯・亜熱帯地域で頻発する自然毒食中毒「シガテラ」の原因物質である。本化合物はA~M環までの13個の環状エーテルと30個の不斉中心を持つ巨大で複雑な梯子状分子である。本研究ではシガトキシン3Cの効率的な合成方法の開拓を目指した。先に構築困難な中員環(E、F、I環)を合成し、短段階で簡便な合成が望ましい収束的連結の終盤では、環化容易な6・7員環を構築する方法を採用した。即ちAB環とEF環からABCDEF環を、I環とL環からIJKL環を合成し、それらを連結することで全合成を狙った。まず、はじめにABCDEF環の合成を行った。AB環は当研究室で既に確立した手法を用いて合成した。一方でEF環は既に筆者によって合成が達成されていたものの、極めて再現性が乏しい段階がいくつか存在していたためその解決を行った。更に合成したAB環とEF環をアニオンカップリングで連結し、還元的エーテル化によりC・D環を構築することでシガトキシン3Cの半分以上を占めるABCDEF環の合成を達成した。IJKL環の合成は当研究室にて達成されているため、次にABCDEF環とIJKL環の連結およびG・H環の構築を目指した。H環はエポキシアルコールの6-exo環化により構築し、G環は還元的エーテル環化により構築する予定である。この方法は当研究室の過去の検討(Tetrahedron, 2006, 62, 7408)に基づくが、エポキシドの前駆体であるZ体の3置換オレフィンの合成が未解決の課題であった。この解決のため筆者は、(1)アルキンとアルデヒドのアニオンカップリングによるセグメントの連結、(2)イノンのヒドロスズ化、(3)有機銅試薬によるメチル基の導入、を用いたZ体の3置換オレフィンの構築方法を、単純基質を用いて開発した。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
All 2017
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results)
Tetrahedron
Volume: 73 Issue: 6 Pages: 703-726
10.1016/j.tet.2016.12.041