Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2017: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2016: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度はBiFeO3(BFO)における電気磁気効果の観測を行った. 強磁場を印加しながら強誘電性ヒステリシスを測定することで磁場に対する電気分極の変化を調べた. 強磁場の印加によって磁場の正負によらずBFOの電気分極が増大することがわかった. これは磁場を電気信号に変換するセンサ動作の基礎となるものである. しかし, 得られた変化が小さく, 微小交流磁場に対する電圧応答も有意には観測されなかったことからBFOの特性を改善する必要があることがわかった. BFOの磁化曲線を測定した結果自発磁化が観測されなかったことから, BFO膜がサイクロイド型の磁気構造を有することが示唆された. サイクロイド磁気構造では線形電気磁気効果が生じないとされており, 前述の磁場に対する強誘電性ヒステリシスの変化と整合する結果となった. 従ってBFOを用いて磁場に対する電気的出力を得るためには弱強磁性構造の発現が重要であることが示唆された. BFOが自発磁化をもたず磁気特性の評価が困難であったため, 反強磁性体/強磁性体二層膜で観測される交換バイアスを測定することでさらにBFOの磁気特性を調べた. 結果として交換バイアスが得られ, BFOが室温で反強磁性磁気秩序を有することが示唆された. BFOにおける交換バイアスの起源として提案されているジャロシンスキー守谷相互作用は弱強磁性磁気構造の起源でもあるため, 弱強磁性発現による電気磁気効果の増大に期待がもたれる. さらに, BFO/強磁性体における電場誘起磁化反転も観測され, 作製したBFO薄膜が室温で有意な電気磁気効果を示すことがわかった. 以上のように本研究で得られた高品質BFO薄膜は磁場あるいは電場の印加に対して室温における電気磁気効果を示した. さらにBFOの磁気構造を弱強磁性構造にすることで磁場に対する電圧応答を増大できる可能性を見出した.
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