Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究では、分裂酵母のグルコース飢餓応答性遺伝子の転写制御機構をモデルとして、クロマチン構造・ゲノム三次元構造制御の転写制御における意義とメカニズムを明らかにすることを目的として研究を行った。昨年度にfbp1プロモーター領域の局所的な領域でグルコース飢餓に応答して特殊なゲノム高次構造が形成され、この構造を介して転写因子の結合タイミングが制御されることを明らかにした。本年度は、本研究で発見したゲノム三次元構造の制御機構を明らかにすることを目的として研究をスタートした。fbp1プロモーターのゲノム三次元構造形成領域では、非コードRNAの転写が起こり、クロマチン構造変換に重要な役割を果たす。転写の際には、転写するポリメラーゼの周辺にDNAスーパーコイルを生じさせることが知られている。そこで、このスーパーコイルによりゲノムDNAがよじれることがゲノム三次元構造形成の初期段階に必要なのではないかという仮説を立て、研究を行った。結果として、今回の研究でスーパーコイルとゲノム三次元構造の関係性を明らかにすることができなかったが、クロマチン構造制御におけるスーパーコイルの役割について新機構を明らかにできた。まず、DNAスーパーコイルを解消する酵素であるトポイソメラーゼを過剰発現する株を作製した。トポイソメラーゼの過剰発現株では、fbp1の転写制御に異常が見られることが明らかになった。この株でfbp1領域のヌクレオソームのポジションを解析すると、本来存在する位置から少しずれた位置に存在することが明らかになった。また、同じ表現型が非コードRNAやfbp1のmRNAの転写阻害によって観察された。つまり、この領域を通過する非コードRNAやmRNAの転写によって誘導されるスーパーコイルがヌクレオソームのポジションを適切に保ち、転写を適切に制御するという新概念を明らかにした。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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