Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
魚類の脳の性転換メカニズムの解明を最終的な目標に据え、そのための糸口として、メダカの脳内の、性行動を支配するとされる領域でメスだけにみられる巨大な神経細胞「FeSP(Female-specific, Sex steroid-responsive Peptidergic)ニューロン」に注目して研究を進めた。FeSPニューロンが魚類の脳の性転換カスケードの一端を担うという仮説のもと、その機能と制御機構を明らかにすることを研究の目的とし、以下の解析を行った。①FeSPニューロンでエストロゲン依存的に発現する遺伝子の機能解析を行った。前年度までにFeSPニューロンでエストロゲン依存的に発現する遺伝子を新たに5つ見出し、それらのノックアウトメダカを作出した。本年度はこれらのノックアウトメダカのメスの性行動を解析し、うち1遺伝子のノックアウト系統で、メスの性行動に異常がみられることを見出した。②透過型電子顕微鏡を用い、FeSPニューロンの細胞内構造を詳細に観察した。その結果、核内にヘテロクロマチン領域がみられないこと、細胞質内に発達した小胞体があることがわかった。③小胞体と、それと同様にタンパク質のプロセシングに関与するゴルジ体をそれぞれ特異的に認識する抗体を用いた蛍光免疫組織化学を行い、電子顕微鏡でみられた細胞内小器官の局在を確かめた。その結果、細胞内に層状に発達した小胞体と、細長いゴルジ体が確認できた。②と③の結果から、FeSPニューロンはユークロマチン化したクロマチンをもち、発達した小胞体とゴルジ体で多量のタンパク質をプロセシングしていることが示唆された。以上の成果により、FeSPニューロンがエストロゲン依存的に活発な遺伝子発現とタンパク質産生を行うことが示され、そのうち1つの遺伝子はメスの性行動に寄与することが強く示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results, Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (6 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)
Endocrinology
Volume: 160 Issue: 4 Pages: 827-839
10.1210/en.2019-00030
Journal of Neuroendocrinology
Volume: 印刷中 Issue: 5
10.1111/jne.12472