Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究では、これまでに開拓してきた分子糊に光応答性スペーサーとタンパク質の阻害剤を組み合わせ、『接着性光スイッチ』を開発する。この接着性光スイッチを細胞内・生体内のタンパク質機能の制御に応用することで、生物現象を時空間的に制御することを目的とする。これまでに、接着性光スイッチの細胞内応用を達成する新たな戦略の一つとして、細胞核への輸送タグ『ケージド分子糊』を開発している。分子糊のグアニジニウム基を光開裂性保護基で保護することで細胞膜透過性を一時的に抑制した『ケージド分子糊』が、ゲスト分子の「エンドソーム→細胞核への移行」を光制御できる「輸送タグ」として機能することを明らかにしている(前年度にアメリカ化学会誌にて報告済)。当該年度では、ケージド分子糊の応用方法についてプロトコルの詳細をビデオ論文(J. Vis. Exp.誌)として発表した。また、さらに多様な生物現象の時空間的制御を指向し、タンパク質間相互作用の光制御を可能にする『光分解性分子糊』を新たに開発した。タンパク質間相互作用(PPI)は2つのタンパク質間に生じる相互作用であり、遺伝子発現やシグナル伝達などにおいて重要な役割を担っている。そのため、PPIを操作する技術の開発は、生命現象の解明や疾患の治療につながる重要な課題である。しかし、一般にPPIの相互作用面は広く扁平であるため、PPI制御分子の設計は容易ではない。そこで、主骨格に光開裂性リンカーを有する『光分解性分子糊』を開発した。光刺激によって分子骨格を分解し、グアニジニウム基の多価性を減少させることで、タンパク質表面への接着→解離を制御できる。さらに、これを利用して、肝細胞増殖因子とその受容体間の相互作用、およびそれによって誘導される細胞遊走現象を光照射位置選択的に制御することに成功した(論文投稿中)。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (10 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results)
J. Vis. Exp.
Volume: 143 Issue: 143
10.3791/58631
Journal of the American Chemical Society
Volume: 140 Issue: 7 Pages: 2687-2692
10.1021/jacs.7b13614
Volume: 139 Issue: 29 Pages: 10072-10078
10.1021/jacs.7b05151