Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
扁形動物門に属するプラナリアは全ての体細胞に分化することのできる全能性幹細胞を全身に持っている。この全能性幹細胞を利用することによって、プラナリアは体を切られても各体の断片から失った組織を再生して個体になることができる。現在までに本研究では、遺伝子MTA1の機能を阻害することによって、プラナリアの全能性幹細胞の正常な移動を阻害することに成功している。また、このMTA1機能阻害個体において、通常は体全体にわたって存在している全能性幹細胞が、特定の領域に凝集して存在するようになることが明らかになった。さらなる解析の結果、MTA1機能阻害個体では、全能性幹細胞が正常に存在し自己複製しているにも関わらず、再生ができないことが示唆された。これらのことから、私はMTA1機能阻害個体で全能性幹細胞が凝集していた領域は、全能性幹細胞が分化全能性を保ちながら自己複製する場であり、この領域から外に出なければ分化することができないのではないかと考えた。すなわち、全能性幹細胞が凝集していた領域は「全能性幹細胞ニッチ」であると考察した。昨年度にはMTA1機能阻害個体を利用して、全能性幹細胞ニッチと考えられる領域の内側と外側に存在する細胞のマーカー遺伝子を各1つづつ同定することができた。本年度では、次世代シークエンサーを利用したトランスクリプトーム解析により、全能性幹細胞ニッチと考えられる領域の内部に存在する全能性幹細胞が発現している遺伝子をより多く同定することができた。これらの結果から「真の全能性幹細胞」の同定および全能性幹細胞ニッチの分子実態を明らかにするため、同定した遺伝子の機能解析を随時行っている段階である。本研究が達成されたあかつきには、iPS細胞やES細胞を哺乳類などの動物の体内で腫瘍化させずに保つことができるようになる可能性があり、再生医療の実現に大きく貢献できると考えられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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