Project/Area Number |
16J40178
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cognitive science
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
光藤 崇子 九州大学, 大学院医学研究院, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2020-03-31
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2017: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2016: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 時間知覚 / 脳磁図 / 多感覚統合 / 心理物理実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知的時間知覚に共通する神経基盤として補足運動野(SMA)が知られており,この領域は随伴性陰性変動(CNV)などの時間知覚に関連した電気生理学的神経活動のジェネレータと考えられている(e.g., Wiener, 2010; Kononowicz & Penney, 2016)。先行研究で我々は聴覚的時間的同化現象を用いた脳波及び脳磁図計測を行い,刺激の時間長を記憶する際にCNVと思われる陰性成分が頭皮中心部に現れることを示した(Mitsudo, et al., 2014; Hironaga, et al., 2017)。これまでの研究で課題として用いている時間的同化現象は複数の感覚モダリティで生起するため(Arao, et al., 2000; Nakajima, et al., 2004; Hasuo, et al., 2014; Nagaike, et al., 2016),同一の心理現象に対する脳活動を異なる感覚刺激を用いて検討可能である。採用第3年度目は体性感覚刺激を用い,これまで関心領域として検討していた側頭・前頭部に加え,時間知覚に関連すると考えられているその他の脳領域(SMA,DLPFC, ACG)の活動を調べることにより,脳内での時間知覚メカニズムに関連するネットワークについてさらに詳細に検討した。右利き健常成人22名(うち3名除外)を対象にNeuromag社製306チャンネル全頭型脳磁界計測装置を用いて実験を実施した。解析の結果,聴覚における先行研究で活動のあった頭頂側頭接合部(TPJ),下前頭皮質(IFG)において触覚でも時間判断に伴う活動の亢進が見られた。これら2つの領域は感覚入力に依存せず時間知覚や錯覚処理に固有の活動を行っている可能性がある。更に,新たに検討した運動前野(PMC)で触覚条件においてのみ錯覚及び時間知覚に関連した活動が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採用第3年度目当初の目標は,視聴覚統合処理によって視覚的錯覚の生起が聴覚により影響を受ける時間範囲を心理物理実験により決定したうえで,その時間範囲にターゲットを絞ってMEG計測を実施し,視聴覚同時呈示時の時間知覚処理における感覚間相互作用について検討することであったが,視聴覚で錯覚の生ずる時間帯が異なることから視聴覚同時呈示によって錯覚が変化する最適パラメータを得ることが難しく実験環境を完全に整えることが困難であったため,同じく時間縮小錯覚の生ずる触覚刺激を用いてMEGを計測し,異なる二つのモダリティ(触覚と聴覚)での時間知覚の脳内処理機構を比較した。聴覚における先行研究で活動のあった頭頂側頭接合部(TPJ),下前頭皮質(IFG)において触覚でも類似した活動が見られている。これら2つの領域は感覚入力に依存せず時間知覚や錯覚処理に固有の活動を行っている可能性がある。新たに検討した運動前野(PMC)で錯覚及び時間知覚に関連した活動が確認された。今後は,現在までのデータに基づき,時間縮小錯覚生起時にTPJ,PMC,IFGといった領域で生じる活動を時空間的にマッピングし,異種感覚での時間知覚・錯覚についての統合的な処理モデル構築を目指す。採用3年目は,主著論文はなかったが共著論文が3本出版されたため,採用1年目のExp Brain Res誌,採用2年目のScientific Reports誌の論文と合わせ採用期間中に一定の業績を残せたと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
TPJ,IFGは聴覚と触覚で類似した活動を示した。これら2つの領域は頭頂―前頭ネットワーク内でモダリティ非依存で時間知覚(錯覚)処理に関連する可能性がある。新たに検討した運動前野(PMC)で錯覚及び時間知覚に関連した活動が確認された。PMCやIPLといった運動関連領域は予期(Temporal expectation)との関わりが強いとされている。PMCの中でも背側部(Dorsal premotor)は素早い運動を必要とする時間予測課題等で活性化(Praamstra, et al.,2006; Sakai, et al.,2000; Dreher, et al.,2002; Chen, et al.,2006)するとされ,腹側部(Ventral premotor)は短い時間での知覚時間弁別課題で活性化(Grahn, et al.,2007; Schubotz, et al.,2001; 2003)するとされる。今後は,現在までのデータに基づき,時間縮小錯覚生起時にTPJ,PMC,IFGといった領域で生じる活動を時空間的にマッピングし,錯覚機序のメカニズムの理解を目指す。聴覚のDLPF, SMA, ACCの解析結果を合わせて2つのモダリティでの結果を比較し,異種感覚での時間知覚・錯覚メカニズムについての統合的な考察を行う。
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