Research Project
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
本研究では、細胞に発現させたクロトー、FGF受容体を、細胞外から加えたプロテアーゼで切断し、細胞上清に遊離させて、回収した後、立体構造を決定する計画である。まず、切断、遊離を行う条件の検討を行った。アルファクロトー、ベータクロトー、FGF受容体1、FGF受容体4の各タンパク質の「細胞膜外側の膜直上から次のドメインまでの間のリンカー領域」に、「プロテアーゼが認識し、切断する配列」と「切断後のタンパク質を回収するためのタグの配列」を、タンパク質の全長を変えることなく導入し、切断されるかを試した。しかし、それらのタンパク質は、プロテアーゼによって切断されなかった。切断されない理由として、プロテアーゼ認識切断配列の位置が細胞膜もしくはドメインから近すぎること、もしくは、細胞膜とドメインとの間の隙間が狭すぎることにより、プロテアーゼが接近できないためではないかと考えた。FGF受容体4を用いて、リンカー部を延長するとともに、プロテアーゼ認識切断配列を複数個所導入したものを、延長程度を変えて複数作製し、検討を行った。その結果、リンカー部を3倍以上に延長した場合、プロテアーゼにより切断されることが分かった。この「FGFR受容体4の3倍延長リンカー」を用いて、他のタンパク質のリンカー部を延長し、プロテアーゼ認識切断配列とタグを導入したところ、プロテアーゼにより切断された。以上により、切断の条件は決定できた。しかし、培養細胞の細胞上清中にプロテアーゼを加えても、細胞にはそれらのタンパク質が多量に発現しているにも関わらず、細胞上清には切断されたタンパク質がほとんど検出されなかった。それらのタンパク質の細胞表面量の解析を行ったところ、細胞表面量は少なく、大半は細胞内に存在していた。これが上清にほとんど検出されない理由と考えられるため、発現や遊離の方法について、さらなる条件検討が必要である。