植物においてアルミニウムが液胞を介して誘発するプログラム細胞死の分子機構
Project/Area Number |
16K14872
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Field |
Plant nutrition/Soil science
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 洋子 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授 (50166831)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2016)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2017: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2016: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | アルミニウムイオン / 液胞プロセシング酵素 / スクロース輸送体 / タバコ培養細胞 / プログラム細胞死 / N遺伝子 / NtSUT1遺伝子 / VPE遺伝子 / アルミニウム / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
アルミニウムイオン(Al)による細胞毒性は、増殖の盛んな細胞にみられ、根においては先端の分裂・伸長域において細胞死を誘発する。Alによる細胞死誘発機構の解明を目的に、3つの遺伝子、VPE(液胞プロセシング酵素)遺伝子、N(ウイルス抵抗性)遺伝子、NtSUT1(スクロース輸送体)遺伝子に着目し、タバコ植物体ならびに培養細胞を用いて解析した。タバコ培養細胞を用いて作出したVPE遺伝子の発現抑制(RNAi)系統と野生系統との比較解析から、VPE1遺伝子がAlによる細胞死の実行因子であることを見いだした。N遺伝子は、タバコがタバコモザイクウイルスに感染した際にVPE遺伝子に依存した過敏感細胞死の誘発に必要であることから、Alによる細胞死誘発における関与について、N遺伝子を持つタバコ系統と持たない系統を用いて比較解析をしたが、Alによる細胞死の誘発ならびにVPE遺伝子の発現誘導の程度に差はみられず、N遺伝子の関与は否定された。細胞の増殖に必要な炭素源のスクロースは、細胞膜に局在するNtSUT1を介して取り込まれ、液胞に蓄積されて浸透圧調節物質として細胞伸長にも寄与することから、タバコ植物体を用いてNtSUT1遺伝子の過剰発現系統ならびに発現抑制系統を作出し野生系統とともに根伸長への影響を比較した。通常の栽培条件では、根端で発現するNtSUT1遺伝子の発現量が多いほど根端の遊離糖含量が増加し根伸長が促進された。同様に、Al処理においても、NtSUT1遺伝子の発現量が多いほどAlによる根の伸長阻害ならびに細胞死が緩和された。以上の結果より、液胞に局在するプロテアーゼVPE1が、Alによる細胞死の実行因子であること、根端で発現する細胞膜局在のNtSUT1が、細胞伸長を正に調節する因子であるとともに、Alによる細胞死や細胞伸長阻害に対する抑制因子でもあることを初めて明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)