前頭葉ドパミン神経機能を制御するシグナル間相互作用の分子基盤解明
Project/Area Number |
16K19183
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Field |
Applied pharmacology
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷部 茂 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (30754725)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2016)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2017: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2016: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | σ1受容体 / 5-HT1A受容体 / 前頭葉 / ドパミン神経系 / 薬理学 / 脳神経疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で,末梢神経ステロイド低下状態において,σ1受容体/5-HT1A受容体の機能的相互作用を介した前頭葉ドパミン(DA)遊離増強作用の存在を示してきた.本研究では,この前頭葉における複合的DA神経活性の調節機構の分子基盤の解明を目指し,以下のことを明らかにした. 1)σ1/5-HT1A受容体相互作用の神経回路とシグナル分子の同定および相互作用に関わる神経ステロイドの作用点の解析:σ1受容体アゴニストならびに5-HT1A受容体アゴニスト刺激による副腎・睾丸摘出(ADX/CX)マウス(およびピクロトキシン処置マウス)脳各部位のc-Fos発現を解析したところ,大脳皮質前頭前野および腹側被蓋野において神経活動の増加を認めた.また,腹側被蓋野におけるc-Fos陽性細胞はドパミン神経細胞マーカーであるチロシンヒドロキシラーゼと共発現していた.以上の結果から,GABAA受容体機能低下条件下での前頭葉DA遊離増強に腹側被蓋野から投射するDA神経が関与することを明らかにした.また,神経ステロイドの多くがGABAA受容体のポジティブアロステリックモジュレーターとして作用することに着目し,GABAA受容体の関与について微小透析法を用いて検討したところ,GABAA受容体アンタゴニストであるピクロトキシンを投与した条件下においてもσ1/5-HT1A受容体相互作用による前頭葉DA遊離増強を認めた(Ago et al., Psychopharmacology, 233:3125-34.). 2)相互作用による大脳皮質DA神経機能を反映する薬効評価モデルの構築:最近,我々が開発した新規意欲評価系であるFemale encounter 試験を用いて,本シグナル相互作用がマウスの情動行動に与える影響について検討した.その結果,この前頭葉DA遊離増強がピクロトキシン誘発アンヘドニアを改善することを明らかにした(Hasebe et al., British Journal of Pharmacology, 174:314-27).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度では,ピクロトキシンがADX/CXと同様のシグナルを介した前頭葉DA遊離増強を引き起こすことを示し,この機能的相互作用におけるGABAA受容体機能の関与を明らかにした.また,そのメカニズムに腹側被蓋野におけるドパミン神経系が重要性であることを明らかにし,当初の予定通り検討することが出来た. これまでにマウス間相互作用を基盤とした新規意欲評価系であるFemale encounter試験を構築している.この手法を用いて,GABAA受容体機能低下が精神神経機能へ及ぼす影響および抗うつ薬応答性の解析についても取り組んだ.その結果,この前頭葉DA遊離増強がGABAA受容体機能低下により引き起こされた精神異常行動を改善することをを見出し,ピクロトキシン投与マウスが新たな精神疾患モデルとして有用である可能性を示した. 本結果は,精神疾患の新しい治療ストラテジーを提案するものであり,当初の計画以上の進展であったと評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究成果をもとに,さらに相互作用発現と関連するシグナル分子を追究する.具体的には,c-Fos発現解析により変化が認められた腹側被蓋野および大脳皮質前頭前野において,関連するシグナル分子の同定を目指す.また,前頭葉において増強されたDAの下流シグナルの解明を通じて,複合的調節機構の薬理学的意義および創薬への応用について考察する.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の研究成果から,複合的前頭葉DA調節が精神疾患モデル動物の異常行動を改善することを示した.しかし,その分子メカニズムの詳細は不明である.次年度においては,その詳細を明らかにするため,行動解析,生化学的解析,アレイ解析に必要な消耗品の購入および動物の購入に使用する予定である.
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Report
(1 results)
Research Products
(13 results)
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[Presentation] Continuous activation of dopaminergic system improves autism-related behavioral abnormalities in mice prenatally exposed to valproic acid2016
Author(s)
Hasebe S, Hara Y, Higuchi M, Ago Y, Nakazawa T, Hashimoto H, Matsuda T, Takuma K
Organizer
Annual Meeting of Society for Neuroscience
Place of Presentation
San Diego Convention Center, SanDiego, CA, USA,
Year and Date
2016-11-12
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Int'l Joint Research
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