Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
胆管癌は予後不良な消化器癌の1つであり、外科的切除が長期予後を期待できる唯一の治療法である。既存の抗癌剤により生存期間は延長したものの、その効果は限定的であり、新規治療法の開発が望まれている。近年、癌幹細胞の存在が注目されており多くの癌種において研究が進められている一方、胆管癌における癌幹細胞に関する研究はあまり進んでいない。癌幹細胞は、自己複製能と多分化能という、胚性幹細胞や体性幹細胞などの幹細胞に共通して存在する二つの特徴を持ち、加えて造腫瘍性という特徴も持ち、癌を維持していると考えられている。一般的な抗癌剤による治療は、腫瘍の大部分を占める分化した癌細胞のみを標的としている可能性が報告されている。これらの分化した癌細胞は癌幹細胞としての機能をもたないため、極少数の癌幹細胞が残存していれば再発が起こり得ることになり、このことが、癌においてしばしば再発が起きる原因だと考えられている。ノンコーディングRNAの一つであるmicroRNA(miRNA)が着目され、様々な遺伝子発現に関与していることが報告されており、教室からも多種の癌種において悪性度や予後に関連するmiRNAを報告している。今回我々は胆管癌の癌幹細胞に関連するmiRNAを検索し、その臨床応用の可能性を検討する。将来的には核酸創薬の手法を用いて、胆管癌の予後を改善可能な新規治療法を開発することを目的としている。乳癌、大腸癌、膵癌、肝細胞癌などでは様々な表面マーカーの報告があるが、胆管癌での報告は少ない。我々は浮遊細胞塊培養法に着目した。現在では癌幹細胞を濃縮する簡便な手法として普及しており、多種の癌種において、sphereにおいて表面マーカーでsortingした際に癌幹細胞の分画が上昇したり、化学療法耐性が上昇したりといった報告を認める。今回の研究では、核酸創薬に展開可能なmiRNAを同定し、胆管癌の治療成績を改善することを目的とする。
All 2016
All Presentation (2 results)