Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
ヒト口腔扁平上皮癌細胞株である GFP-SAS 細胞に対して研究協力者の株式会社 BNA に miR-361-3p に対する BNANC を含むオリゴヌクレオチドの設計合成を依頼し、腫瘍抑制効果を示すオリゴヌクレオチドの最適な塩基数および修飾核酸である BNANC のオリゴヌクレオチド中の位置ならびに導入数について in vitro 試験で決定した。また、同時に細胞毒性を認めないコントロールアンチセンスオリゴヌクレオチドを合成した。GFP-SAS 細胞を用いた in vitro 試験で最適化した後、同社に対して in vivo 試験用にアンチセンスオリゴヌクレオチドとそのコントロールミスマッチオリゴヌクレオチドの合成を依頼した。また、これまでの in vitro 試験は核酸導入試薬である Lipofectamine RNAiMAX を用いたリバーストランスフェクションを行っていたが、オリゴヌクレオチド単剤でのアンチセンス効果を目的として BNANC の窒素部位に種々の修飾を加えたオリゴヌクレオチドを合成し、核酸導入試薬を用いない核酸導入試験を行った。これまでに 5 種類の官能基を BNANC の側鎖に導入したオリゴヌクレオチドが合成され、そのうちの 1 種類については in vitro 試験において最大で 20% 程度の細胞増殖抑制効果を得ている。現在、オリゴヌクレオチド単剤でさらなる細胞増殖抑制効果を示す修飾を見出すために新たな官能基やペプチドを修飾したオリゴヌクレオチドの設計および合成を進めている。また、当科において初代培養に成功している口腔扁平上皮癌患者由来の原発巣についても Lipofectamine RNAiMAX を用いた in vitro 試験を行っており、GFP-SAS 細胞を用いた時と同様に高い細胞増殖抑制効果を示した。これらの結果より複数の口腔癌由来細胞に対してアンチセンス効果を発揮するオリゴヌクレオチドの合成に成功したと考えている。