Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究においては、まず、マウスにおける歯周組織再生モデルを確立するため、当研究室で確立されている絹糸誘導性マウス実験的歯周炎モデルを野生型(WT)マウスに適用し、絹糸除去後の自然治癒過程を観察した。すなわち、WTマウスの上顎第二臼歯に絹糸を結紮し、2週間留位することで歯周炎を惹起した。絹糸結紮2週間後には著明な歯肉の炎症所見に加え、micro Computed Tomography (μCT)解析の結果、当該歯の周囲は根尖付近にまで及ぶ著しい歯槽骨の吸収を認めた。その後、絹糸を除去すると歯周炎は徐々に自然消退し、絹糸除去から2週間程度で概ね結紮前の状態にまで治癒することが明らかとなった。次に、同治癒過程の詳細について解析するため、エナメル質脱灰後、歯周組織の切片を作製し、HE染色による歯周組織の構造解析を行った。さらに、遺伝子発現解析のため、同組織からRNAを抽出した。次に、歯周組織再生モデルとして、0.3%FGF-2を局所投与することを試みた。本研究により、絹糸誘導性マウス実験的歯周炎モデルにおける絹糸除去後の自然治癒過程が明らかとなり、またマウスにおけるFGF-2投与による歯周組織再生誘導モデルが構築されつつある。将来的には、FGF-2による歯周組織再生誘導の詳細な分子メカニズムの解明や、PLAP-1とFGF-2を併用した新規歯周組織再生療法の開発に寄与するものと考えられる。