Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
リポ多糖結合タンパク(LBP)はリポ多糖(LPS)に対する自然免疫応答を媒介する急性期タンパクで、主要な産生臓器は肝臓であるが、近年、白色脂肪組織(WAT)でも産生される事や脂肪組織炎症に関与する事が報告されている。これまでに、高脂肪食(HFD)摂食開始後3日目のマウスにおいて、肝臓におけるLBP発現は変化せずに、WATでのみ有意に増加することや、WATにおけるLBP発現がMCP-1の発現と正の相関を示す事を明らかにした。これらの結果は、HFDが惹起する脂肪組織炎症にLBPが関与することを示唆している。今回、HFDによるLBP発現増加の分子メカニズムを明らかにするための検討を行なった。培養細胞レベルではLPSがLBP発現を誘導する事が報告されていた為、HFD摂食マウスの血中LPS濃度について検討を行なった。予想に反し、HFD摂食マウスの血中LPS濃度に上昇は見られなかった。また、無菌マウスを用いた検討においてもHFD摂食によってWATにおけるLBP発現の増加が見られた。LPS以外のLBP誘導因子として糖質コルチコイドが知られていた為、血中コルチコステロン(CS)濃度について検討を行なったが、HFD摂食マウスの血中CS濃度は増加していなかった。しかし、HFD摂食開始14週目のマウスではWATのLBP発現ならびに血中CS濃度が有意に上昇していた。少なくとも長期的なHFD摂食によるWATのLBP発現増加にCSが寄与している事が考えられた。脂肪細胞に分化させた3T3-L1細胞を用いた検討で、CSの添加によってLBP発現が増加すること、ミフェプリストン(MIF)の同時添加によってCSによるLBP発現増加を抑制できる事を確かめたので、糖質コルチコイドによるLBP発現増加ならびに脂肪細胞炎症への影響を検討する為に、HFD摂食マウスへのMIF投与実験を行っている。
All 2017
All Presentation (1 results)