Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
申請者が所属していた神奈川歯科大学では長年にわたり癌細胞におけるChemokine(C-X-C motif) ligand 14(CXCL14) の作用機序についての研究を行ってきた。この因子の機能の一つとして癌細胞における顕著なCXCL14の発現低下とCXCL14による癌細胞の増殖抑制機序を細胞レベル、生体レベルで報告している。これらの報告より、CXCL14は正常細胞の機能を保つ因子であると示唆される。しかし、これまでCXCL14と骨代謝機序については世界的に見ても研究されておらず作用は全く不明であった。そこで、申請者は既に当学で癌研究のために樹立されていたCXCL14遺伝子改変マウスを使用しCXCL14と骨代謝機序について解析を行った。本研究課題ではCXCL14が骨代謝に及ぼす影響を解析するため、申請者が所属する神奈川歯科大学が所有しているCXCL14遺伝子改変マウスを使用した生体・細胞・分子レベルの骨解析を行う。平成28年度では、CXCL14が骨組織形態、細胞(破骨細胞、骨芽細胞および骨細胞)機能に与える影響を解析した。そして、組織および細胞での骨関連遺伝子の発現変化を解析した。ケモカインの多くは一般に免疫細胞の遊走に関与することから、炎症反応の活性に重要な因子であり歯周病などの炎症性骨破壊への関与が示唆されている。本研究において、申請者はCXCL14が生体レベルで骨密度を上昇させることを見出した。この研究結果から、CXCL14は骨代謝および骨形成に重要な因子であることが明らかとなった。