光合成細菌からシアノバクテリアへの不連続な「システムの形質転換」過程の解析
Project/Area Number |
17018022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三室 守 京都大学, 大学院・地球環境学堂, 教授 (40142004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 徹 京都大学, 大学院・地球環境学堂, 助手 (20362569)
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Project Period (FY) |
2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2005: ¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
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Keywords | シアノバクテリア / 光合成系 / 反応機構 / 光合成細菌 / システムバイオロジー |
Research Abstract |
酸素発生をしない光合成細菌から酸素発生をするシアノバクテリアへの進化(不連続な「システムの形質転換」)の過程を解明ために、16S rRNAの配列比較から最も始原的なシアノバクテリアと考えられるGloeobacter violaceus PCC 7421を実験対象として選び、全ゲノム情報を、かずさDNA研究所との共同研究として、2003年に決定した(Nakamura et al., DNA Res. 10,137(2003))。この種について、以下の研究成果を得た。 (1)G.violaceusは現存するシアノバクテリアの中で最も高い平均GC含量(62%)を持っていた。1177遺伝子がGC含量65-70%、40遺伝子がGC含量70-75%の範囲にあった。GC含量の変化に伴って、タンパク質として発現されるアミノ酸の出現頻度に大きな特徴が見られた。見いだされた4430のORFについて現在までに公表されている総ての遺伝子との相同性を検索した結果、109については相同性が見いだされなかった。 (2)G.violaceusでのカロテノイド合成系の鍵となるphytoene desaturaseは、他のシアノバクテリアとは異なり光合成細菌型であることを遺伝子の相補実験によって証明した(Tsuchiya et al., FEBS Lett. 579,2125(2005))。これは現在知られる限り、シアノバクテリアでは唯一の例外であった。さらには光化学系Iの電子受容体が、緑色光合成細菌では使われるが他の酸素発生型光合成生物では使われていないMenaquinone-4であること、その含量が反応中心電子供与体と化学量論的にも整合することを明らかにした(Mimuro et al., FEBS Lett. 579,3493(2005))。これらの結果はG.violaceusが光合成細菌からシアノバクテリアへの移行の中間的性質を残していることを示す結果であり、今後ともG.violaceusについて解析を進めることの妥当性を強く示すものであった。 (3)Synechocystis sp. PCC 6803を用いて形質転換系を我々の実験室でも立ち上げた。 (4)G.violaceusの光化学反応中心I複合体を単離し、その分光学的性質を精査した。その結果、液体窒素温度での吸収スペクトルでは700nmより長波長側には吸収帯がないとう特異な性質を明らかにした。(投稿中)。 (5)G.violaceusの酸素発生系の生理活性や水分解の機構に関連する熱発光を精査した。その結果、タンパク質レベルでの変異は大きいものの光化学反応系そのものには変異がないことが判明し、予想とは大きく異なった結果を得た(投稿準備中)。
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Report
(1 results)
Research Products
(13 results)