Budget Amount *help |
¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
Fiscal Year 2005: ¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
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Research Abstract |
我々の研究グループは、神経・精神病理や加齢が感情の認知・生成・制御に及ぼす影響の検討を通じて、感情に関わるヒトの脳内機構の解明に取り組んでいる。扁桃体損傷患者(菅・石原・河村ら,2003)、うつ病患者(Kan, Kawamura et al.,2004)、健常高齢者(鈴木・星野・河村,2005)など対象は多岐にわたるが、臨床的応用を視野に入れ、高頻度疾患であるパーキンソン病(以下PD)患者の研究をとくに精力的に進めている。感情認知については、動画表情(Kan, Kawamura et al.,2002)や曖昧表情(Suzuki, Kawamura et al.,2006)を用いた感情認知課題を独自に考案し、PD患者において恐怖と嫌悪に特異的な表情認知障害がみられることを明らかにした。感情生成については、恐怖表情などの感情喚起刺激呈示に伴う事象関連電位を記録し、双極子追跡法によって発生源を検討することで、PD患者では扁桃体を中心とした感情生成の脳内機構の機能が低下していることを示した(Yoshimura, Kawamura et al.,2005)。感情制御については、PD患者がギャンブルを模した意思決定課題(以下、ギャンブル課題)において衝動の制御が障害されていることを確認した(Mimura, Kawamura, et al., in press)。PDはこれまで運動機能の障害として捉えられてきたが、以上の結果はPDが感情機能の多様な側面に影響することを示している。また、黒質線条体系に限局的な病巣をもつ若年性パーキンソン病患者や、海馬や大脳皮質に主病巣をもつアルツハイマー型痴呆患者では上記の感情認知障害が認められなかったことから、感情認知と扁桃体の密接な関連性が示唆された。
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